EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

自動制御

真・MFC千夜一夜物語 第432話 MFCの歴史を振り返ろう その8

マスフローコントローラ(以下MFC)の歴史に関して振り返っています。
DecoがMFCメーカーから離れ、一介のコンサルタント、エヴァンジェリストとして過ごして10年になります。
これを期にMFCという不思議な工業製品の技術動向をその歴史を俯瞰しながらまとめて行きたいと思います。

前回までMFCの要である流量センサーの技術動向を振り返りました。
流量を測定するというのはMFCが流量制御する為の第一段階であり、ここでつまずいては正確な流量制御はできません。
そして、今回からはMFCの流量制御のもう一つの要である流量制御バルブを用いた自動制御に関して解説していきます。
そもそもMFCが使われるようになる前、流量制御は下図のようなフロート式流量計とニードルバルブを組み合わせたものが主流でした。
 
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人間が検出器である流量計のフロートの位置(流量値)を目視で読み取り、頭脳で目標値である流量と比較判断して、ニードルバルブの開度を手で調整することで制御を達成します。
人間が目視し、判断し、操作することで調整計としての役割で介在するプロセスであり、このような制御系は手動制御という形の立派な制御の形なのです。
手動制御の問題点は、そこに人間が介在しなくてはいけないことです。
人間は24時間同じパフォーマンスを発揮し続けることが難しいですし、熟練度により目視から判断の過程で差が生じます。
そういった手動制御の問題を解決するには、自動制御が必要となります。
流量計を流量信号を出力できるもの、例えばマスフローメータ(以下 MFM)に変えることで、人間の介在しない自動流量制御を行うが下図です。
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自動制御に必要となるのは、人間の代わりに比較、判断、操作をこなす調整計です。
調整計は人間の目と頭脳と手の代替機能を持っていますが、全く同じ動作をする訳ではありません。
例えばフロート式流量計は、人間の目で読み取るというアクションが必要なため、検出値を調整計で処理するための信号化が難しいのです。
その為MFMのような流量を電圧や電流信号に変換できるデバイスが必須とされました。
このMFMと自動調整バルブ、そして調整計を一つのパッケージにまとめたのがMFCなのです。

MFCはそれ単体で、熱式流量センサーが検出器としての役割を果たし、そこからの測定値(Process Variable 以下PV)と外部から与えられた目標値(Set Variable 以下SV)とを比較し、その偏差を無くす為に、流量制御バルブの操作量(Manipulative Variable 以下MV)を決定する自動制御系なのでしたね?

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


真・MFC千夜一夜物語 第381話 流量制御バルブとアクチュエーター その1

今回からマスフローコントローラー(以下MFC) の流量制御を司る流量制御バルブとそのアクチュエーターに関して再び解説していきましょう。

MFCは流量センサーと流量制御バルブ、そして調整計である制御系で成り立つ流量自動制御を目的とした特殊な機器です。
それ故に流量センサーと流量制御バルブ双方の理解を深めていかないと本質を見失いやすいのです。
本ブログで流量センサーだけでなく流量制御バルブの解説を都度試みるのは、その為です。
MFCは流量を自動制御しています。

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例えば図のようにフロート式流量計を流量の検出器として用い、ニードルバルブ等を使って目標値となる流量を調整する形は手動制御と言われます。
検出器であるフロート式流量計の値を人間が目で測定値として読み取り、頭脳でそれと目標値の比較、偏差を判断し、手でニードルバルブのハンドル部を回してバルブの開度を調整するのです。
目標値と測定値が一致するようにこのフローを繰り返すのが手動制御です。
手動制御の問題は、そこに人間が介在することです。
プロセス条件は朝昼晩の環境温度変化や、二次側のリアクターの圧力変動等により流量測定に影響を及ぼします。
その為、そういったプロセス条件の変動に合わせ調整計の役割を果たす人間が常に必要になるのです。
でも、人間は24時間働き続ける事はできませんね?
交代要員を用意したとしても、フロート式流量計のフロート位置を読み取るのに、フロートのどの位置を読めばよいのか知っている熟練作業者と、全く知らない新人では目視から判断の過程で差が出てしまう可能性もあります。 

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そういった人間の存在が及ぼす手動制御への影響を解消するのが、自動制御なのです。
MFCの場合、フロート式流量計でフロートの位置を目視で読み取るという動作が流量センサーに置き換えられます。
判断して、操作するという動作は調整計に委ねられます。
自動制御の肝となるのは、人間の代わりに比較、判断、操作をこなすこの調整計です。
調整計は手動制御での人の頭脳での②判断と手での③操作の代替を行いますが、当然全く同じ動作をする訳ではありません。
例えば、フロート式流量計は、人間の目で読み取るというアクションを調整計に入力する為に信号化することが難しいです。
今の技術ではカメラで読み取ることで可能になりましたが、そこにコストを費やすよりは、熱式流量計のように流量を電圧や電流信号に変換できるデバイスの方が調整計との相性のいい検出器として歓迎されるのでした。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan
 

真・MFC千夜一夜物語 第303話 MFCとは不思議な存在 その3

【お知らせ】
今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

前回は流量制御に関して、手動制御自動制御のお話をしました。
自動制御では流量値を電気信号、もしくは通信で発信できる流量計(センサー)と、同じく電気信号や通信で動作する自動制御弁を調整計と呼ばれる機器に接続することで、流量計からの検出値と目標値を①比較し、それらの偏差を②判断し、自動制御弁の開度を③操作する事で自動制御を行います。これが計装業界では一般的な機器の配置です。

マスフローコントローラー(MFC)は、この自動制御に必要な機器の組み合わせを、一つのモジュールにまとめってしまった機器なのです。
下図にその流れをまとめておきましょう。
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ここで勘違いしてはいけないのは、「手動制御が自動制御に劣る」「一体型のMFCの方が優れている」という考えです。
手動制御は自動制御のような人を廃除することはできませんが、環境条件等が大きく変動する要素が無い場合は、ローコストで設置できる利点を活かせます。
制御させることが少ないので、人が介在するのが立ち上げ時と、点検時だけでいいような場合、ワンショットの実験等ですぐラインを解体してしまう場合が挙げられます。
また、一体型にする利点はシステムの小型化や、個々の機器を組み合わせるより設置・調整の手間がかからず、しかもローコストで調達できる利点があります。
ですが、一体型であるが故の問題点というものも存在するのです。

たとえばこういった状態でガスを導入する場合です。
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よくある事例で、このブログでも何度もご説明していますが、流量設定信号(SV)が
0以外のある値でMFCに入力された状態で、何らかの理由(図では空圧弁へ圧縮空気を送る電磁弁が閉、従って空圧弁も閉状態)でガスの供給が遮断された場合、MFCの調整計はSV>流量信号(PV)の状態をSV=PVとすべく、バルブ制御信号(MV)を増やしますが、当然SV>PVは解消されないので、バルブ開度最大でMFCが待機してしまっている状態です。

この状態で空圧弁を開いてガスを導入すると、全開で待機していたMFCの流量制御弁をすり抜けたガスが大きなガスサージを下流で発生させます。
下流側にワークの入った真空チャンバーがあった場合、真空が破壊されたり、巻き上がったゴミがワークに付着したり、最悪はワークが破壊されたりする深刻なトラブルを招きかねません。
しかし、これはMFCの不具合かというと、そうではないのです。

よく、「MFCが制御不良からオーバーシュートして不具合を起こした!」とユーザーさんからクレームを付けられるケースですが、実は制御不良ではないのです。
そもそもMFCはSV=PVとなるよう(MFCにとって)正常な制御を行っている状態であり、空圧弁が開いた後、SV<PVの状態を感知して、SV=PVとすべく、MVを小さくしてバルブ開度を制御させたのであって、応答制御不良でオーバーシュートを起こしたわけではなく、急激なガスの侵入に対して制御が間に合わなかった分がガスサージとして下流に流れて行ってしまったのです。

一体型のMFCの内部で調整計が制御を行っていると、なかなかその動きが外から見えにくく、MFCの制御不良、オーバーシュートによるものと誤解されてきた過去がありました。
対策はありまして、それはMFCに「自動制御をやめろ!」と指示することなのですが・・・
(次回につづく)

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第302話 MFCとは不思議な存在 その2

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マスフローコントローラ(MFC)という一体型流量制御器は、計装関連では非常にユニークな存在です。

一般的な流量計を用いた流量制御の図を以下に示します。

 

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上図は人間が①目視で流量計(図中では面積式流量計)の流量値を読み取り、予め欲している必要流量地との比較を頭脳で②判断し、ニードルバルブの開度を手で③操作します。

これも立派な制御の形=手動制御です。

でも、これでは人間が終始システムに付き添わなくてはいけませんし、そもそも判断するレベルが人によってまちまちになる可能性もあります。
例えば「300L/minにしなくちゃいけないけど、まぁ今の値の330L/minでもいいだろう。」とサバを読んで何もしない人、「表示の500L/minを読み間違えて300L/minになっていると思いこんでしまった。」というミスをする人。
たとえ同じ人が担当しても、ある日すごく疲れていてミスをしないとは限りません。
こういったトラブル要因となる“人間”の介在を取り除いたのが自動制御です。


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自動制御では流量値を電気信号、もしくは通信で発信できる流量計と、同じく電気信号や通信で動作する自動制御弁が必要になります。

これらを調整計と呼ばれる機器に接続することで、流量計からの検出値と目標値を①比較し、それらの偏差を②判断し、自動制御弁の開度を③操作する自動制御が完成します。

流量計を用いた流量自動制御はこのような形を取る事が多く、流量計、自動制御弁、調整計は独立した存在であるのが一般なのです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

MFCとは?

久しぶりのMFC豆知識のコーナーです。

マスフローコントローラー(MFC)とは何でしょうか?
実は11/15のNMIJ流量計測クラブの年会での講演でもお話しさせて頂いたのですが、
マスフローメーター(MFM)が純粋な質量流量計、つまり流量計なのに対して、MFCは複雑なのです。


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MFCとは流量センサー(熱式やコリオリ式)と流量制御バルブで構成されると書かれることがありますが、正確には違います。
MFCは 流量センサー、調整計、流量制御バルブ の3つから成り立つことを覚えておいてください。

流量センサー  流量を測定し測定値(PV)を出力する
調整計     外部から目標値(SV)を受け、流量センサーPVと比較・判断し
        操作量(MV)を決定し、流量制御バルブを操作する
流量制御バルブ MVを受けバルブ開度を調整する(=圧損を可変することで流量を調整する。)

これを上図の左側で人間が手動流量制御を行っているのになぞらえると

①流量計を目視して流量を知る 
②流したい流量値と比較して判断する 
③ニードルバルブの開度を手で調整する

という作業を、小さなMFCが代わりに引き受けて、24時間、夏でも冬でも、供給圧力が乱れても、同じ流量を流し続けることができる自動流量制御を実現してくれる便利なツールなのですね!

そう考えると、マスフローコントローラーは質量流量計なだけでなく、流量の自動流量制御を可能にするマルチファンクションツールなのです。
実はすごいと思いませんか?

【MFC豆知識】 by Deco EZ-Japan
EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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