【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただく事になりました。(既に更新は4/23で終了しております。)

こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

お陰様でEZ-Japanは、恙なく”令和“を迎えることができました。
新しい時代”令和”がEZ-Japanにとって、そして皆様方にとって良い時代であることを祈りたいと思います。

では、令和になって第一回の千夜一夜物語をお届けしましょう。


 

モノシランをマスフローで使う場合の注意事項 その1

 前回、前々回の事故事例を紐解いてみても、モノシラン、そしてそれに準じる危険性を持つ特殊高圧ガスを使用するには細心の注意が必要な事がわかったかと思います。
特殊高圧ガスを消費する者はその量の多寡に関係なく、事業所において特定高圧ガス取扱主任者を選任し、都道府県知事に届け出を行わなければなりませんし、当然消費施設や消費方法が技術基準に適合しているかを問われます。
ですが、特定高圧ガス取扱主任者の講習では、マスフロー(MFCMFMの総称)に関する詳細な講習までは行ってくれないようです。(Decoが受講したかなり前の記憶なので、現状の講習内容は未確認です。)
本ブログの第一目的はマスフローを安全に運用するのに必要な知識をユーザーの皆様に知っていただく事です。
マスフローのようなマイナーな流体測定&制御機器の分野を掘り込んで解説する場所としては最適かな?と自画自賛的に思っていますので、ご活用いただけたら幸いです。

 

さて、マスフローで気を付けなくてはいけないのは、何はよりも外部リークです。
モノシランが大気にリークすることの恐ろしさはご説明してきました。
モノシランを使用するCVD装置等はチャンバーが真空=つまり流路は負圧であることも多く、リークがあれば大気がモノシラン配管に引き込まれることになり、大変危険な事態を引き起こします!
そこで昨今、シラン系のガスラインには、接ガス部にメタルシールを用いるタイプのマスフローが選定されるのが標準となってきました。
これはマスフローとしてのリーク性能差(メタルシールはHeリークディテクタの測定限界以下)を重視してのことですが、決してエラストマーシール(樹脂Oリングシール)が使用できない訳ではありません。
日本のユーザーとマスフローメーカーは、何かというと厄介そうなガスは全てメタルシールタイプマスフローで済ませてしまうきらいがありますが、ヨーロッパなどではエラストマーシールで対応することもあります。
エラストマーシールの場合、フッ素樹脂系ゴムのバイトン®で耐性的は問題がありません。

 ただ、こういったエラストマーシールタイプのマスフローを、ユーザー自身が配管施工する場合は、継手の締め付け作業に関しては、より慎重に行って頂きたいです。(下図参照)

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 食い込み継手の場合、(食い込み継手は、“スエジロック継手”と一般的に呼称していますが、御存知の通りこれはメーカー名なので注意してください。英文名:Compression fitting を和訳すると”食い込み”になるわけです。) メーカーの指導内容をよく読まずに、力任せにひたすらナットを締め付けてしまうミスをよく見かけます。
この方法では逆効果で、これが原因で外部リークが起きている事例をたまに見かけます。

「手締め状態から11/4回転」というのが、正しい締め付け方法です。

 ここまではできていながら、マスフロー側の固定が甘く、共回りしてしまってマスフローボディへ適切に継手の直管ネジが固定されておらず、緩んでしまったり、Oリングに傷がついてしまって外部リークを起こすパターンも散見されます。

特に配管径が細い場合には要注意です。
ナットとボディ部に挟まれて、作業しづらい部位でもあるので筆者は薄口タイプのモンキーレンチ(写真)を必ず2本は工具箱に入れています。

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トルクをあまりかける必要としないこのような配管作業には、なかなか適した工具なのです。


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan