圧力センサーを搭載した制御モジュールとして形は似ていますが、そもそも圧力式MFCPI-MFCAPC (Automatic Pressure Controller)は違うものですよ!というお話です。
では、改めてAPCとは何でしょう?

講習会等で「圧力センサーからの圧力信号で流量制御バルブを制御した結果、圧力を調整するAPCと言う機器があります。」という御説明をすると、聴衆の皆さんは不審そうな顔をされます。
「APCって、圧力信号で圧力制御バルブを制御しているんじゃないの?」という疑問です。
これはDecoが間違っている訳ではありません。
以前にも説明していますが、大部分のAPCと呼ばれる機器は、MFCの流量センサーを圧力センサーに置き換えたもので、制御バルブはMFCと同じ仕組みなのです。
オリフィスの絞り(リフト量)を可変する事で、バルブでの圧力損失を変化させ、流量を制御するものだからです。(下図参照)
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調圧器と言われるレギュレーターの仕組みはどうなっているか?というと全く異なります。
下図を見てください。
 
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入口側から高い圧力のガスが入ってくる部屋があります。
その部屋には弁があり、その弁で下流の低圧部屋と繋がっています。
調圧ハンドルを締め付けると大きいスプリングが圧縮され弁を押し開ける力が働きます。
高圧側の部屋にはバランス用の小さいスプリングがあり、部屋の高い圧力と一緒になって弁を閉める力として、押し開けようとする方向の力に対抗してバランスします。
この仕組みで低圧側の部屋はある一定の圧力になるのです。
つまりバネを用いて入口圧力と出口圧力のバランスを取っているのですね?

これが普通の流量制御バルブのような絞りを可変する構造では、入口側圧力から絞りの圧力損失分を差し引いて得られるのが出口圧力になるので、絞れば絞るほど抵抗は大きくなって、流量が流れなくなってしまうので、あまり大きな減圧効果は期待できないのです。
内圧が14.7MPaもあるガスボンベを入口側に置き、出口から0.3MPa程度の圧力を取り出す仕組みとしては、こういった構造の調圧バルブでないと、その任を果たせないわけです。
APCと呼称されている機器で、こういた調圧バルブ的な構造を取っているものは数少なく、MFCの機器構成を利用してセンサーを圧力センサーの置き換えたものがほとんどです。
マスフローメーカーが作るAPCは、やはりMFCの流量調整バルブとPID制御系をそのままMFCから利用したかったからなのでしょうね?

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan