EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

調整計

真・MFC千夜一夜物語 第308話 MFCとは不思議な存在 その8

【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

“マスフローコントローラー(MFC)とは不思議な存在”というタイトルで書いてきましたが、今回で一区切りになります。

流量センサーと、比例制御弁、そして調整弁をワンパッケージにして外部からの設定信号(SV)をもらうことで自動制御を行うというMFC独自性は、半導体製造装置のようなアンダー100SLM程度で、1/43/8インチ程度の配管で構成されるガスユニット上ではスペースメリットも大きく、有意義です。
ですが、他の計装関連の配管システム、特にもっと大流量を使用するプラント関連では、流量計と比例制御バルブは別個に配管上に存在しますし、調整計は遠く離れたPLC等の制御盤に組み込まれています。

 

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この辺りを知っている計装畑の人から見ると、MFCは正に変わり者なのですね。

変わっていようとなかろうと、MFC=流量制御器としての役割さえ果たしてくれれば良いのですが、それができないならば、というかMFCという機器としては正常な制御を行おうとすることが、逆にシステム上はそれが仇となるならば、MFCという形態にこだわる理由は特にはない訳です。

 

果たしてMFCは装置の上流分岐バルブの切り替え時に生じる一次圧力変動による影響を受けない為に、わざわざ圧力センサーを積んで、完治した圧力信号から急峻な圧力変動を識別して、流量信号(PV=SVとなるようにバルブ制御信号(MV)を可変させるという本来の機能に“待った”をかけるという仕組みで対応していくべきなのでしょうか?

その切り替えタイミングを知っている筈の装置側から、その指示を送ればいいだけではないのでしょうか?

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さてMFCという風変わりで不思議な存在の未来像はどうあるべきなのでしょう?
焦らずじっくり考えて行けたらと思っています。

皆さんのお考えをお聞かせ頂けたら幸いです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第302話 MFCとは不思議な存在 その2

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マスフローコントローラ(MFC)という一体型流量制御器は、計装関連では非常にユニークな存在です。

一般的な流量計を用いた流量制御の図を以下に示します。

 

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上図は人間が①目視で流量計(図中では面積式流量計)の流量値を読み取り、予め欲している必要流量地との比較を頭脳で②判断し、ニードルバルブの開度を手で③操作します。

これも立派な制御の形=手動制御です。

でも、これでは人間が終始システムに付き添わなくてはいけませんし、そもそも判断するレベルが人によってまちまちになる可能性もあります。
例えば「300L/minにしなくちゃいけないけど、まぁ今の値の330L/minでもいいだろう。」とサバを読んで何もしない人、「表示の500L/minを読み間違えて300L/minになっていると思いこんでしまった。」というミスをする人。
たとえ同じ人が担当しても、ある日すごく疲れていてミスをしないとは限りません。
こういったトラブル要因となる“人間”の介在を取り除いたのが自動制御です。


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自動制御では流量値を電気信号、もしくは通信で発信できる流量計と、同じく電気信号や通信で動作する自動制御弁が必要になります。

これらを調整計と呼ばれる機器に接続することで、流量計からの検出値と目標値を①比較し、それらの偏差を②判断し、自動制御弁の開度を③操作する自動制御が完成します。

流量計を用いた流量自動制御はこのような形を取る事が多く、流量計、自動制御弁、調整計は独立した存在であるのが一般なのです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第301話 MFCとは不思議な存在 その1

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マスフローコントローラ(MFC)というアイテムは、非常にユニークな存在です。
分類するなら質量流量計・・・いや、それはマスフローメーター(MFM)のことです。
"質量流量制御器"という呼称が正しいかと思いますが、あまりなじみのない表現ですね。
MFCの構成は以下の図を参照ください。
 
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流量センサーから出力された信号を、増幅、温度や直線性補正をかけた信号を流量出力(PV)とします。
これをそのまま外部へ送るのならMFMですが、MFCの場合は異なります。
次に調整計が待ち受けています。
調整計は外部からの流量設定信号(SV)とPVを①比較します。
そして②偏差を判断します。
その後、下流に位置する流量制御バルブを③操作します。
この操作は流量制御バルブに対する、バルブ制御信号(MV)の可変で行われます。
アクチュエーター方式にもよりますが、アクチュエーターを伸縮させることで、流路にあるオリフィスの開度を可変させ、オリフィス部で発生する圧力損失を変化させることで流量を制御するのです。

第301話という事で久しぶりに、MFCの制御とは?というお話から始めさせていただきました。

「なんだ、そんな話は知ってるよ!」
「Decoさんの講演で聞いたよ!」
「もっと最新のPI-MFCとかを取り上げてよ!」

と、おっしゃる読者の方々もおいででしょうが、実はこの構造こそが、MFCの最大の特長であり、最大の難点でもあるのです。
コンバージョンファクターと並び、MFCの未来を左右する大きな二大要素です。
このお話の先にはまず「PI-MFC不要論」という最新の流行を否定する話や、「そもそもMFCすら不要」という恐ろしい結論が待ち構えている可能性もありまして・・・
そうなるとDecoもマスフローマイスターを廃業することになりかねませんね!

簡単なお話に見えて、かなり深くて怖いお話です。
2020年はここを突き詰めて参りましょう!

少し早いのですが、11月に逝った父親の四十九日を控え、実家と行き来しますので、年内のブログ更新は今回で最後にさせて頂こうと思います。
年明け1/7(火)からの連載再開をお楽しみに!

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

MFCとは?

久しぶりのMFC豆知識のコーナーです。

マスフローコントローラー(MFC)とは何でしょうか?
実は11/15のNMIJ流量計測クラブの年会での講演でもお話しさせて頂いたのですが、
マスフローメーター(MFM)が純粋な質量流量計、つまり流量計なのに対して、MFCは複雑なのです。


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MFCとは流量センサー(熱式やコリオリ式)と流量制御バルブで構成されると書かれることがありますが、正確には違います。
MFCは 流量センサー、調整計、流量制御バルブ の3つから成り立つことを覚えておいてください。

流量センサー  流量を測定し測定値(PV)を出力する
調整計     外部から目標値(SV)を受け、流量センサーPVと比較・判断し
        操作量(MV)を決定し、流量制御バルブを操作する
流量制御バルブ MVを受けバルブ開度を調整する(=圧損を可変することで流量を調整する。)

これを上図の左側で人間が手動流量制御を行っているのになぞらえると

①流量計を目視して流量を知る 
②流したい流量値と比較して判断する 
③ニードルバルブの開度を手で調整する

という作業を、小さなMFCが代わりに引き受けて、24時間、夏でも冬でも、供給圧力が乱れても、同じ流量を流し続けることができる自動流量制御を実現してくれる便利なツールなのですね!

そう考えると、マスフローコントローラーは質量流量計なだけでなく、流量の自動流量制御を可能にするマルチファンクションツールなのです。
実はすごいと思いませんか?

【MFC豆知識】 by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第250話 マスフローメータ(MFM)の運用に関して その2

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年5月号(4/25発売)は誌面の都合で休載となっています。5/25発売の6月号をお楽しみに!

さて、マスフローメータ(MFM)のお話です。
以下にMFMとマスフローコントローラ(MFC)の構造比較図を掲載します。

   
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簡単に言えば、MFMに流量制御バルブを追加したのがMFCです。
でも、それだけではありません。
よくMFMの隣にニードルバルブを一体化した製品があります。
これはMFCとは呼称されず、“流量制御バルブ付きMFM”と呼ばれます。
MFCは流量設定信号を外部から入力し、その値と流量センサーで測定した流量信号が一致するように、流量制御バルブの開度を制御することができるものの事を言います。
下図を見てください。

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MFMで流量測定した結果でニードルバルブ開度を調整して流量制御を行うのはあくまで人間の眼で目視し、脳で判断し、手で操作するというファンクションが介在しています。
それに対してMFCでは目視の代わりに設定信号(SV値)と流量信号(PV値)を比較、判断し、バルブ制御信号(MV値)を可変するという一連の調整計としての流れをMFC自身が行っている。つまり、流量制御バルブを持ち、且つ調整計としての機能を持つものをMFCと呼称しているのです。

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一部のMFMは、この調整計機能を内蔵しているものがあります。
本ブログで何度か紹介しているブロンコスト社のMFMは全てこの調整計としての機能を有しているので、0-10VDC等の制御信号(MV値)を出力できます。
外部信号で制御できる流量制御機器(ポンプやバルブ)を別置きのPIDコントローラーなしで制御できるのです。
つまりMFM+調整計(PIDコントローラ)というパッケージで、特にコリオリ式MFMとギアポンプを組み合わせた”マスフローポンプ(質量流量ポンプ)“という他に例を見ない製品も存在しています。
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【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】
 
MFCという形にとらわれずに、コリオリ式で質量流量測定した結果でダイレクトでポンプを制御することで、流体や環境温度の変化に左右されず、ポンプの回転数を最適化するので無駄なエネルギーを消費しない理想的な質量流量制御ユニットとして、高い評価を得ているそうです。
MFMが活躍している良い事例かと思いますので、紹介させてもらいます。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan





EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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