EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

質量流量計

真・MFC千夜一夜物語 第249話 マスフローメータ(MFM)の運用に関して その1


もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年4月号(3/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第44回は、この連載でも以前にやりました“MFCテスト”です。実際はテストという名目で取り上げた誤解しやすい項目を解説する記事なのです。

 

さて、今回からは、マスフローメータ(MFM)の使用上の注意に関する解説です。
マスフローコントローラ(MFC)の方が、マスフロー(MFMとMFCの総称)としてはメジャーな存在です。
しかしながら “質量流量計”という言葉が用いられるのはMFMに対してであり、MFCは“質量流量制御器“なのです。


MFMは純粋な流量計であるから、本体内にMFCのような流量制御バルブを持ちません。

流量制御を主目的としたMFCは遠隔操作が可能で、フットプリントが小さく、流路のボリュームも少ない流体制御機器を好む半導製造装置に相性が良かっただけで、本来なら熱式流量計としてはMFMが本流なのです。

市場に出回っている形態としては圧倒的にMFCが多い為、熱式流量計としてのMFMを運用する上で気を付けなくてはいけないポイントがあまり理解されていないのではないかな?とDecoは思っています。

今回からの連載で、MFCとは少し異なるMFMの運用上の癖を理解してもらえればと思います。


既に連載では何度か解説していますが、簡単に質量流量計であるMFMと質量流量制御器であるMFCの違いを見ておきましょう。

下図でおなじみの熱式流量計の原理が出てきます。

流量センサーは流体によって生じる熱分布の移動を流量へと変換する方式です。


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MFMの構造を下図で見てください。

例として熱式流量計の中でも一般的な巻線式のものを選びましたが、インサーション方式やMEMS方式でも個々の呼称や層流素子の有無はあっても同じような構成です。
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センサーからの生信号は微弱なアナログ信号ですが、最近のマスフローはその後の処理をデジタル回路で行うものがほとんどで、AD変換を一度行い、増幅や温度補正、直線性補正といった処理をされた上で流量出力信号として出力されます。

流量信号は、再度DA変換を行って0-5VDCのような電圧信号、もしくは4-20mAのような電流信号で出力されるアナログ信号によるものと、RS232C、RS485もしくは各種フィールドバス、Ether系等で出力するデジタル信号によるものとがあります。

中にはアナログ&デジタル双方のIOを持つものもあります。

正直な話、この部分は質量流量計としての流量を測る本質的な性能部分とは関係がないところなのですが、例えば電圧信号10mを超える長距離伝送に使うのは電圧降下とノイズ耐性の面からお勧めしません。

電圧信号より電流信号がノイズに強い理由は、エム・システム技研の計装情報Webマガジン“MST エムエスツデー”1993年10月号の記事をお読み頂くと良いかもしれません。



MFMでは正確に測定されていても、信号を送る過程での劣化によりそれが妨げられるのは困りものですから、電流出力等の適切な信号形態を選ぶべきです。

いつでも「マスフローは0-5VDC」という考えは、流量信号を内部で処理して流量制御をしてしまうMFCと違って、必ず流量を外部へ発信する役割を担うMFMにとっては、その役割を台無しにしてしまう可能性がある問題なのですから・・・


 


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第247話 バイパスはトラブルの元なの? その6


 もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 20183月号(2/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第43回は、マスフローコントローラ(MFC)に比べてマイナーな存在のマスフローメータ(MFM)のアプリケーションに関する解説記事です。

 

MFCMFMの最大のトラブルは、センサーチューブとバイパス(層流素子)の分流比が何らかの原因で初期値より変化することという説明から、実際のアプリケーションでのトラブル事例を二つ見て頂きました。

 

「じゃあ、どういうマスフローを選べばいいの?分流構造のないマスフローなんてあるの?」というお問い合わせを頂くのですが、現時点でDecoがお勧めしているのは、インサーションタイプの流量センサーを持ち、バイパスレスで全量流量測定を行っているMASS-STREAMシリーズになります。

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                     【MASS-STREAM 出典:ブロンコスト・ジャパン()

 

インサーションセンサーに関して、改めて説明しましょう

このセンサーは一般的なマスフローで使われている熱式流量センサーの、ご先祖に当たる(と、Decoが思っている)熱線式流速計の原理を基にしています。

熱線式“風速”計とは何でしょう?

風速を測定するには代表的なのが、飛行機の機首等についているピトー管です。

飛行機のピトー管は高速飛行時の速度計として使用されています。

(ピトー管の説明は文字数の関係で省きます。)

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それに対して熱線式風速計とは、上図にあるように、キングの式を基にした熱線からの放熱量と風速のバランスから流速を導き出す方式です。

熱線式流量計は高いSN比と応答性能を特長としています。

熱線部に細径の白金線等を使い、それを流れ場に金属の支柱で曝し、細線に電流を流し発熱させます。

加熱された金属線は流体の速度が上がれば上がるほど、冷却されますね?

金属は高温となると抵抗値が大きくなる傾向があるので、流速の変化に応じて生じる抵抗値の変化を捉えれば流速を測ることが可能になります。

熱線式というネーミングは、この金属の細線を発熱させることから来ているのですね。

 

初期の熱線式流速計は、定電流制御でした。

常に一定の電流を流す回路構成の為、熱線の抵抗値が変化したら、その分だけ電流量を変化させます。

これに対して現在では熱線の温度を常に一定にする=金属線の抵抗値を一定に保つ定温度方式が主流となっています。

回路上は複雑になるが、フィードバック制御のおかげで応答性能が向上する利点が大きいのです。

 

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定温度型熱線式流速計の基本回路は上図のような構成です。

熱線はホイットストンブリッジの抵抗としてバランスをとっている為、ブリッジに加える電流量を変化させることで、常に一定温度に熱線を維持するフィードバック回路となります。

熱線式流速計は流れ場の物性値が一定ならば正しい流速値を示します。

逆に流速が一定ならば物性値の変化を示す為、周囲温度変化には当然左右されます。

この問題には温度補償回路を設けることで対応しています。

ブリッジ回路に温度補償用の測温抵抗体を追加することで、流体の温度変化によって生じる抵抗値変化を用いた温度補償を行っているのです。


熱線式風速計はその性格上、ブリッジ回路から出力される電圧信号と流速の関係は絶対的なものではなく、あくまで相対的なものであり、必ず
“校正”が必要になります。

ピトー管等の流体の物性値に左右されない測定式を利用した流速計をリファレンスとして検量線を引いて運用された方が良いのです。

 

ここまで読んできて、あれっ?と思いませんでしたか?
なんだかマスフローの熱式流量センサーの解説に出てくる文章や単語と似ている箇所がありますよね?
だからこの熱線式風速計が、熱式流量センサーのオリジンだと思えてくるわけです。


次回はこの方式のインサーションセンサーを搭載したMASS-STREAMの解説を行います。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

 

MFMとMFCはどう違う?

本ブログのメインコンテンツは、”真・MFC千夜一夜物語”ですが・・・

ここで皆さんへ初歩の質問です。
「マスフローメータ(MFM)とマスフローコントローラ(MFC)の違いは何でしょう?」

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EL-FLOW Prestige <出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

写真ですと左がMFM、右がMFCです。
流量制御バルブが付いている方がMFCなのですが、このように外観で見分けがつく場合と、ケースやボディを共用してしまっているので見分けが付かない場合があります。
そこは型式などで確認いただくとして、本来の用途的な差を簡単に説明しておきましょう。

マスフローメータ=Mass Flow Meter は日本語で「質量流量計」です。
マスフローコントローラ=Mass Flow Controllerは日本語で「質量流量制御器」です。

MFMはわかりやすいと思います。
読んで字のごとく、質量流量を測るものですね?
では、MFCは?
MFCはMFMで測定した流量信号と、流したい設定流量を比較して、流量信号(PV値)=設定信号(SV値)になるように流量制御バルブの操作量(MV値)を自動制御する機能を持ったユニットのことです。

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上図左手のように、流量計とニードルバルブがあり、温度、圧力条件の変動に応じて人間が流量計の指示を見ながら、ニードルバルブ開度を微調整するという、①比較→②判断→③操作という動作を、MFCが引き受けてくれている訳なのです。

<要注意>

MFCはSV=PVとなるよう流量制御バルブの操作量MVを可変することで、バルブ部の流路抵抗=圧力損失を調整し、その結果、流量制御を行っています。
つまりMFC自身で流量を産み出している訳ではないので、自身が持つ圧力損失よりもMFC上流-下流=差圧条件が下回る場合は、流量制御ができなくなってしまいます。

MFMとMFCの違い、特にMFCの役割が案外知られていないので、きっちり把握しておいてくださいね!

MFC豆知識 by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第240話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その10

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2017年9月号(8/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第37回は、“マスフローコントローラ(MFC)のトラブルシューティングの解説<後編>”となっています。

今回は “コリオリ式マスフローは、このアプリケーションにお奨め”をご紹介するその2です。

2.ドージングシステム
“流しながら測れる秤”と解説してきましたが、ならば当然その対抗馬というか、取って代わるべき存在は”流した結果を測る秤“であるロードセルです。
ブロンコストのコリオリ式マスフローのバッチカウンター機能と、そこから直接制御されるシャットオフ弁、比例制御弁、またはポンプで構成されるドージング(分給)システム“CORI-FILL™”を提供しています。
まずは下の動画をご覧ください。


ロードセル及び他のコリオリ式流量計とも比較して、CORI-FILLの利点は何でしょうか?

1.充填速度が速い=スループット向上
結果から制御するより、流しながら測って充填する方が当然センシングは早いわけですし、閉止弁との位置を工夫することで制御不能なデットボリュームが少ない配管を構成できるので、高速重点が可能になります。このことは揮発性液体を充填する際に顕著に問題になる気化分の蒸散という問題や、大気(空気)との反応という問題を減少させることができます。

2.マルチ流体を同時にドージング可能
コリオリは流体を問わず質量流量を測定しますから、ロードセルと異なり、マルチ流体を同時にドージング可能です。
ロードセルの場合は1流体毎にゼロイングが必要ですが、CORI-FILL™は次のバッチをスタートさせるのに短いリセットコマンドを発信するだけでOKです。
もちろん被充填対象の容器の重量変化があっても、充填量だけを測っているので問題はありません。
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<ブロンコスト CORI-FILL カタログから引用>

3.システムのダウンサイジング
mini CORI-FLOW™は最小測定流量がフルスケール5g/h、最小流量が M12で0.1g/h(ターンダウン1:50)、ML120で0.05g/h(同じく1:100)です。
他社のコリオリ式流量計で仮にドージングシステム組んでもここまで微小流量に対応できない為に、わざわざ流量計の測定レンジまで液体を希釈して測定させるようなシステムもあります。
それではフットプリントは大きくなるばかりです。

4.質量及び体積ドージングが可能
コリオリ式の利点は質量流量以外に密度情報をリアルタイムで出力できることです。これを活かして、質量流量だけでなく、体積流量に換算したドージングも可能になります。

5.デジタル通信/フィールドバス対応
mini CORI-FLOW™はデジタル通信、各種フィールドバスに対応していますので、PLCやPCとの通信により、バッチカウンター量をプリセット、データーロギングや、異常時のインターロック等の機能拡張が容易に行えます。

いかがですか?
良いことづくめのコリオリ式マスフローを使ったドージングシステム。
既にEUでは大々的に採用されているようですよ。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第239話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その9

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2017年9月号(8/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第37回、“マスフローコントローラ(MFC)のトラブルシューティングの解説<後編>”となっています。
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<mini CORI-FLOW 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

半導体プロセスで液体用マスフローを用いた気化供給システムにコリオリ式マスフローを投入する事のメリットをご説明してきました。
では、ガスの制御はどうでしょうか?
半導体プロセス装置では圧倒的にガスの流量制御に使用されるMFCが多いことは、皆さんもご存知ですね。エッチャーやCVD装置で1チャンバーに5~10台のMFCが使用されます。
それと比べると液体材料の制御は3系統@1チャンバーあればいいところで、プロセスにより使用数0のチャンバーも当然あります。
“コリオリが完全無欠の質量流量計(マスフロー)なら、ガス用でも従来の熱式より良い性能が出せるんですよね?”というご質問を皆さんから頂きそうです。
性能を何で表すか?という際に、精度性能を持ち出すのはあまり意味が無いのですが、カタログスペックを比較すれば、圧倒的にコリオリの方に軍配が上がります。
それよりも一番優れているのはコリオリの最大の特長である“流体の物性に左右されず質量流量測定が可能”がやはり大きな持ち味になります。
熱式MFCではコンバージョンファクター(CF)の信憑性が、精度性能などは吹き飛ばしてしまうくらいの実ガスでの流量誤差につながっているのは、最終顧客である半導体メーカーから指摘されており、近年SEMI JapanのTF (タスクフォース)でもMFCの実ガスでの流量性能が議論されています。
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熱式流量センサーの流量式では比熱がその傾きを決めていますが、ただそれだけではなく補正係数が必要になるガスが存在します。校正ガスに使用する窒素よりも重いガスでそれは顕著です。また、そもそもマスフローのCFは不活性ガスであっても、温度・圧力・流量(というか流量に応じたマスフローの分流構造の差=層流素子の形状の差)で必ずしも1ガスに1CFとはなりません。そういったCFの抱える問題を解消するのは、熱式では難しいとDecoは考えています。

それではCFが存在しないコリオリ式マスフローで、測ってみてはどうだろうか?
CF4というガスを例に、ブロンコスト・ジャパン(株)のWEBで展開しているサイジングツール=FLUIDAT® on the Netで計算してみました。
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300SCCM (CF4の質量流量 0.071kg/h を 0℃ 1013hPa基準の体積流量に換算)した場合のトータルエラー(精度 + ゼロ点の安定性 で提示される)の値は、このレートで±0.5282%Rであり性能として熱式MFMをはるかに上回っています。
ところが、測定に必要な圧力条件は入口圧0.4052MPa、出口側大気開放であるから、約0.4MPa(d)もあることになります。
これは同じレンジの熱式MFMと比較すると、かなり大きな値ですね?

センサーのSN比が良い状態なら、ゼロ点の安定性は高くなり、結果トータルエラーは小さくなります。
それは非常に良い事なのですが、コリオリ式の場合、センサーのSN比が良い状態はセンサーチューブで発生するコリオリ力が大きい時、すなわち高い密度の流体が流れている時=チューブの圧力損失を大きな状態になるのです。
これは密度の高い状態である液体の場合には、さほど問題になりませんが、気体の場合は実用上、少し困ったことになるのです。
因みにこのチューブのモデルの最大流量時のデータは以下になります。

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844.7SCCMを測定した場合、トータルエラーは0.51%R しかし圧損は1.3MPa(d)という値になってしまいます。

センサーチューブを細く小さく作るという難度の高い技術である微小流量用コリオリ式マスフローのパイオニアであるブロンコストだから、まだこういった値で済んでいるので、本来ガスを測定するには、大流量高圧がコリオリの担当分野でした。
(水素スタンドの充填圧は70MPaですが、コリオリ式流量計が使われています。)
逆にいえば今までなかった可能性が見えてきたのが、ブロンコストのminiCORI-FLOWで、この製品を見るまではDecoは“半導体用プロセスガスをコリオリで測れるわけがない派”でした。(勝手に作って、勝手に脱退して、すみません・・・)
まずは今の熱式マスフローの実ガス流量基準器としてコリオリ式を使うというのが、ファーストステップだと考えています。
この分野の進展は、Decoのライフワークともいえる分野ですので、都度ブログや計測技術誌の連載でお知らせしていきますね。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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