EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

防爆

水素用に防爆マスフローは今や常識?

水素社会という言葉を聞く機会が増えましたね。
カーボンニュートラル実現に向けた鍵となるのが水素だと言われています。

水素は、多様な資源から製造できるため、国内での製造や、海外からの資源の調達先の多様化を通じ、我が国のエネルギー供給・調達リスクの低減に資するエネルギーです。
また、水素は、再生可能エネルギーによる水の電気分解や、化石燃料と二酸化炭素の貯留・再利用技術を組み合わせることで、カーボンフリーなエネルギーとして活用可能です。
多くの国がカーボンニュートラルの実現に向けて動き出す中、発電・輸送・産業といった幅広い分野の脱炭素化に資する、2050年カーボンニュートラル実現に向けた鍵である水素。
日本は、水素の社会実装に向けて、水素を「つくり」「はこび」「ためて」「つかう」取組を、世界に先駆けて推進しています
そんな水素用で注目を集めるのがブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)TIIS認証本質安全僕構造マスフローメーター(MFM) EX-FLOW です。
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EX-FLOWシリーズ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

EX-FLOWは、EUで必須のATEX防爆規格に加え、以下の3エリア向け本質安全防爆認証を獲得しています。

IECEx = IECEx DEK14.0060
TIIS = 検・第TC21584号 (日本) *MFMのみ
KCs = Ex ib IIC T4 (韓国) *MFMのみ

IECExをそのまま自国の適合品として受け入れている国はオーストラリア、ニュージーランドなどです。
各国でIEC規格を検定の基準とする動きも進んではいますが、現時点では日本はJPEx(TIISその他認証機関)、韓国はKOSHAの国内用型式適合証明が必要です。

TIIS国際規格に整合した技術基準認証本質安全防爆マスフロートランスミッターであるEX-FLOWは、(株)タテヤマ製作所のユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュールTSPM003シリーズとの組み合わせで、TIIS認証本質安全防爆MFMシステムとして流量測定が可能になります。
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出典:ブロンコスト・ジャパン(株)、(株)タテヤマ製作所 作図:EZ-Japan

 更に他社製品になりますが、TIIS耐圧防爆型操作端(調整弁)との組み合わせでマスフローコントロールシステムとして流量制御も可能になります。
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出典:ブロンコスト・ジャパン(株)、(株)タテヤマ製作所 作図:EZ-Japan

JPExに対応したTIIS認証本質安全防爆構造のマスフローは、現在BronkhorstのEX-FLOWシリーズのみです!
EX-FLOWに興味を持たれたら、EZ-Japanへお問い合わせください!

EZ-Japanここでもう一押し by Deco

ブロンコスト・ジャパン(株) サーモテック2022出展

ブロンコスト・ジャパン(株)から、展示会出展のお知らせです。

2022年6
13まで東京ビックサイトにて開催されるサーモテック2022にブロンコスト・ジャパン(株)が出展します。(ブースNo.2-N022)


今回は水素やアンモニア流量測定&制御用のマスフローメーターやマスフローコントローラーを中心に展示すると事です。

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もちろん国内では唯一の本質安全防爆防爆マスフローEX-FLOWシリーズの展示もあるかと思います。
Bronkhorst23

更に本邦初公開になる
インラインでリアルタイムにウォッベ指数を計測できるWobbe指数メーターも展示する予定とのことです。
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関連記事
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ウォッベ指数計 MEMS AG gasQS flonic V2 その2


ご来場を検討されている方は、是非ブロンコストブースにお立ち寄りください!
Decoも久しぶりに顔を出しに行こうかな?と考えてます。

EZ-Japan MFCニュース by Deco

真・MFC千夜一夜物語 第263話 マスフローに防爆仕様は存在するの? その10


もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 201810月号(9/25発売)ですが、マスフロー千夜一夜物語は誌面都合で休載です。

11月号をお待ちくださいね。

 

まずは下の図を見てください。

181009_01


この組み合わせは、タイトルにあるようにMFM部は本質安全防爆ですが、流量調整弁やポンプに対しては、あくまで耐圧防爆構造のものを選択しています。

賢明な皆様には既にこの構成が 本ブログの第261話 ”マスフローに防爆仕様は存在するの? その8” で取り上げたATEX本質安全防爆構造のEX-FLOW MFCタイプと似通った構成である事に気が付かれたでしょう。
そもそも流量センサーと流量制御バルブ、そしてPIDコントローラを一体化したMFCという形態は、本質安全防爆が必要な危険場所では存在し得ないのです。

なので、ブロンコスト自身は流量発信器のTIIS認証に特化し、ユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュールの開発は計装技術に造詣の深い()タテヤマ製作所に委ね、流量制御弁やポンプは複数の国産メーカーでリリースされている耐圧防爆構造の既存品を顧客の必要としているプロセスに応じて組み合わせてもらうというブロンコスト・ジャパン()の戦略は、市場の現実をよく見据えた鋭いものであると思えてきます。

TSIP-002-CREX-FLOWを流量発信器として本質安全防爆ループを形成する相棒ですが、そのパートナーはEX-FLOWには限りません。
TIIS
認証本質安全防爆発信器ならば、他の測定方式の流量発信器でも、または圧力発信器でも構わないのです。
圧力発信器を用いれば、本質安全防爆構造圧力センサーとなり、更に流量調整弁を接続すれば、APCAutomatic Pressure Controller)を形成することもできます。
APC
の場合、圧力発信器の位置が容器の上流か、下流かによって容器の入口圧制御/出口圧制御と役割が変わる性格があるのは、以前ご説明したと思います。
センサー部とバルブ部が一体型のMFCのような形はAPCとしての汎用性をスポイルしてしまうので、このようなセンサー部と制御バルブの配置を固定されないスタイルが市場では歓迎されるとDecoは思います。

 

連載10回をかけてマスフローでの防爆の解説とブロンコスト・ジャパン()の新製品 本質安全防爆構造MFMEX-FLOW”、そしてコンビを組む(株)タテヤマ製作所のユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュール“TSIP-002-CR”との接続による本質安全防爆構造MFMとしての運用、その応用編としてフローコントローラへの拡張の可能性の解説を行ってきました。

今までと異なり、防爆に関してグレーゾーンは少なくなってきています。

TIIS認証品が無いので、代わりの方法で…というのは通りにくくなり、TIIS認証品で構成する事を例外なく求められるようになると思えます。
そういったタイミングでTIIS認証本質安全防爆防爆構造MFMが世に出たのは必然だったのかもしれません。

防爆に限らずワールドワイドでビジネスを展開する際に、必ず各国でのローカル規格認証の問題が付きまといます。
もちろんメーカーは、それらを尊重してビジネスを展開していかなくてはならないのですが、国々の規格への個別対応には当然コストと時間を必要とします。
これがメーカーの負担になっている事は否めません。

しかし、安全規格の場合、それは即ち人命にかかわるものなのだから、緩和、国際共通化していくには難しい側面もあるかもしれません。
でも、ローカルルール化が過ぎたレベルになり新規参入を拒む障壁になってしまうのも避けたいところで、悩ましいところですね。
今回のオランダのマスフローメーカーであるブロンコストのTIIS認証取得が、良い意味での”ペリーの黒船“になってくれればとDecoは思っています。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

真・MFC千夜一夜物語 第262話 マスフローに防爆仕様は存在するの? その9

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 

20189月号(8/25発売)では、マスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータ(MFM)の流量校正に関する解説です。

本ブログと併せてお読み頂けましたら、幸いです。

 

ブロンコスト・ハイテックBronkhorst High-Tech B.V. 以下ブロンコスト)の防爆用=危険場所用EX-FLOWTIIS認証本質安全防爆構造です。

ただし、本質安全防爆として認証されているのはEX-FLOWの流量発信器、つまりMFMのみであり、MFCは残念ながらTIIS認証を取ったソレノイドコイルが存在しない為に実現されていません。
誤解を招かないように説明すると、TIIS認証本質安全防爆構造電磁弁”は存在しています。
ただし、それは電磁弁でも閉止弁としての構造のものです。
Deco
もその仕組みを説明してもらったことがあります。

バリアで制限された電流でコイルに大きな磁力を発生する為に、電磁弁側回路にコンデンサーを用いて電流をため、開動作で消費電流が大きいモードに入る際に開放する素晴らしい仕組みでした。
しかし、通常動作時の電流消費が小さい閉止弁と異なり、常に開度を調整し続けるような使い方がメインの比例制御弁であるMFC用のソレノイドアクチュエーターに即転用できるとは思えませんでした。

 

では、折角のEX-FLOWシリーズを防爆構造のMFCとして使用する事は全く不可能なのかと、そうではありません。
MFM
としての、TIIS本質安全防爆構造のEX-FLOWはあるのですから、流量制御弁を何とかすればよいのです。
実はその解消アイデアは前回ご紹介したATEX本質安全防爆構造のMFCの形態から逆算していくと見えてくるのです。

 

TIIS認証防爆対応フローコントロールユニット

 

ブロンコストのEX-FLOW MFMTIIS認証本質安全防爆MFMとして使用する際に、その相棒と言える存在として(株)タテヤマ製作所のユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュールTSIP-002-CRを紹介しました。(下図に外形図)


第6図
 

前回の解説ではEX-FLOWと本質安全防爆ループを構成する部分、つまり本器の機能の触りだけを説明しましたが、今回は更に詳しく解説していきます。

本ユニットは TIIS認証本質安全防爆発信器(EX-FLOWのような流量発信器、圧力発信器等)に対応しており、TIIS 技術基準認証本質安全保持器(本安電源/電流リピーター)を内蔵しているので、発信器と直接接続することが出来ます。
このユニットの機能はそれだけではありません。

以下にその内容を記します。

 

【機能】

1. 各種本質安全防爆発信器へ本質安全電源を供給

2. 本質安全防爆発信器からの信号を TIIS 技術基準認証安全保持器経由で受信

3. 安全保持器で受信した信号を信号変換(電気的にアイソレーション)して非防爆機器(指示調節計)へ供給

4. 指示調節計で計測値を表示し、外部へ計測信号(420mA)を出力

5. 指示調節計から目標値(セットポイント)を設定可能(ローカルコントロール)

6. 指示調節計は PID 制御機能を有しており制御信号(420mA)を出力可能。この出

力信号で耐圧防爆構造操作端(調節弁、ポンプ、コンプレッサー等)を駆動することが出

来す。

7.指示調節計にはリモート/ローカル設定信号切替機能を有しておりリモート側へ切り替えることにより、外部設定信号 420mADCSPLCPC 等から)を受信可能(リモートコントロール)

8. 流量上下限警報出力機能

9. A/M スイッチを M(手動)にすることによって操作端への出力を設定可能。

例:調節弁の場合手動による設定信号で開度調節、又は全開、全閉が可能

 

57項にあるように、本ユニットはPID制御機能を有しています。
流量発信器からのPV値と本ユニット、もしくは外部入力からのSV値を比較して同値になるよう耐圧防爆構造の流量調整弁やポンプに対し、MV値を送って流量制御が可能なのです。
これはMFCが内部でやっている事と同じですね?
EX-FLOW
と本ユニットに、用途に応じて耐圧防爆構造流量調整弁やポンプを接続することで防爆構造のフローコントロールモジュールを形成できるのです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第261話 マスフローに防爆仕様は存在するの? その8


 もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 
20189月号(8/25発売)では、マスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータ(MFM)の流量校正に関する解説です。

本ブログと併せてお読み頂けましたら、幸いです。

 

ブロンコスト・ハイテックBronkhorst High-Tech B.V. 以下ブロンコスト)の防爆用=危険場所用マスフローコントローラ(MFCEX-FLOWにはATEX本質安全防爆構造MFCが存在します。

このMFCタイプのEX-FLOWは、見かけ上は一体型のMFCに見えても、MFCに必要な制御基板はそこにはありません。
本質安全防爆構造を採る故に、危険場所に電気エネルギーを極力供給しないようにするためです。
マスフローメータ(MFM 本質安全防爆構造の場合、正確には流量センサーのみなので、流量発信器)とコントロールバルブは、非危険場所に設置したPID制御基板を内蔵したバリア付き電源・リードアウトシステムE-8000に各々独立したケーブルで接続されることで、防爆構造流量測定&制御ループが確立するようになっているます。

 

 180918_01

 

つまり、EX-FLOWMFCタイプは、MFCのブロックの上にATEX本質安全防爆構造の流量発信器と、ATEX認証品コイルを採用したコントロールバルブを便宜上同居させているだけなのです。
外部から設定信号を受け、本体内の流量センサーから出力される流量信号と同値になるようコントロールバルブの制御を行う機能をワンパッケージ化したものがMFCならば、厳密にはMFCと言えないかもしれませんね。

必ずE-8000との組み合わせで本質安全ループを組まない限りは、意味が無いのです。
下図で本来のMFCの機能をどう分割しているかを、図示してみました。

 180918_02

ブロンコストのEX-FLOWATEX本質安全防爆MFCシリーズは、前回連載で紹介したMFMと同じく、幅広い流量・圧力レンジへの対応が可能です。

<ブロンコスト・ジャパン(株)HP EX-FLOWのページへ>


本質安全防爆構造が求められる部分が流量センサーとソレノイドアクチュエーターコイルに絞られる為に、MFCのその他のメカ部分は従来品とほぼ同様です。

そのお陰で本質安全防爆構造でありながら、幅広い流量、特に大流量サイドでは、500m3n/h(n=ノルマル:0℃、1013hPa基準)という流量に対応できています。

ただし、前述のとおりあくまでATEX本質安全防爆構造であるために、いくら性能的にも仕様的にも優れた製品であっても、日本国内での防爆用途で使用することは難しいかもしれません。

この問題の解消の為のチャレンジが、TIIS本質安全防爆認証”取得だったのですね。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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