EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

電流信号

真・MFC千夜一夜物語 第320話 MFCに互換性はあるの?その6

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM)のメーカー間での互換性に関するお話です。


最後は電源とアナログ信号のお話で、書き漏らしたところを説明しますね。

昨今、マスフローの所用電源として用いられているのは24VDC、もしくは古くからある±15VDCのいずれかです。
現役時代、お客様の計装技術さんから「なぜマスフローだけは、±15VDC電源が必要なの?他の機器が12-24VDC単相で良いのに、わざわざマスフローの為だけにマイナスDC電源を準備しないといけないんだけど!」と、よく愚痴を言われたことがありました。

確かに圧力センサー等を見ても、12-24VDCで動作するものがほとんどです。
これはマスフローの熱式流量センサーがホイートストンブリッジを使用しているのが主な理由です。(下図)

 

 200727_01

 

対になった巻線センサーが昇温されてバランス=ゼロを取っているところに、流体が流れる事で上流側の温度が下がり、下流側の温度が上がることで抵抗値のバランスが傾いたのを電圧出力で取り出しているからです。
マスフロー開発当初はそこで用いる精度の高いマイナスDC電源を内部の基板に置くのが難しかったので、外置きにした±15VDC電源からの供給にしたと筆者は古参のマスフロー技術者から聞いています。

 

流量信号、流量設定信号に用いられるのは圧倒的に0-5VDCが多いです。

これにも理由が・・・あるのだろうか?

電圧信号での伝送は、4-20Aのような電流信号での伝送と比較すると、圧倒的にノイズ耐性で劣ります。
これは電流信号の優れたところで、同じレベルのノイズ電圧が加わっても、受信抵抗により電流信号への影響はほとんど無視できるレベルに減じられてしまうのです。
故にプラント等大規模設備での計装の世界では4-20Aが主流です。
 

また、1-5VDC4-20Aのようなゼロを浮かせた信号電送は、ケーブルの断線、配線忘れ、コネクターの脱落といったトラブルを早期に発見できる利点があります。
信号のゼロ位置が0Vの場合、機器を動作させない限り、指示計が0V表示である理由が、本当に流れがゼロなのか、それとも結線が途中で切れてしまってゼロなのかが判別しにくいのです。

 

なので、本当はマスフローも電流信号の4-20mAを使った方がいいのですが・・・

今のところ計装用の大流量モデルなどに留まっている感じですね。

ま、マスフローのメイン需要先の半導体装置自体はそんなに大型ではないから、伝送距離も10m以下だという事もあるのですけどね。(ノイズ環境としては良くは無いけど・・・)

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

真・MFC千夜一夜物語 第249話 マスフローメータ(MFM)の運用に関して その1


もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年4月号(3/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第44回は、この連載でも以前にやりました“MFCテスト”です。実際はテストという名目で取り上げた誤解しやすい項目を解説する記事なのです。

 

さて、今回からは、マスフローメータ(MFM)の使用上の注意に関する解説です。
マスフローコントローラ(MFC)の方が、マスフロー(MFMとMFCの総称)としてはメジャーな存在です。
しかしながら “質量流量計”という言葉が用いられるのはMFMに対してであり、MFCは“質量流量制御器“なのです。


MFMは純粋な流量計であるから、本体内にMFCのような流量制御バルブを持ちません。

流量制御を主目的としたMFCは遠隔操作が可能で、フットプリントが小さく、流路のボリュームも少ない流体制御機器を好む半導製造装置に相性が良かっただけで、本来なら熱式流量計としてはMFMが本流なのです。

市場に出回っている形態としては圧倒的にMFCが多い為、熱式流量計としてのMFMを運用する上で気を付けなくてはいけないポイントがあまり理解されていないのではないかな?とDecoは思っています。

今回からの連載で、MFCとは少し異なるMFMの運用上の癖を理解してもらえればと思います。


既に連載では何度か解説していますが、簡単に質量流量計であるMFMと質量流量制御器であるMFCの違いを見ておきましょう。

下図でおなじみの熱式流量計の原理が出てきます。

流量センサーは流体によって生じる熱分布の移動を流量へと変換する方式です。


242ac619.jpg
 

MFMの構造を下図で見てください。

例として熱式流量計の中でも一般的な巻線式のものを選びましたが、インサーション方式やMEMS方式でも個々の呼称や層流素子の有無はあっても同じような構成です。
180417_01


センサーからの生信号は微弱なアナログ信号ですが、最近のマスフローはその後の処理をデジタル回路で行うものがほとんどで、AD変換を一度行い、増幅や温度補正、直線性補正といった処理をされた上で流量出力信号として出力されます。

流量信号は、再度DA変換を行って0-5VDCのような電圧信号、もしくは4-20mAのような電流信号で出力されるアナログ信号によるものと、RS232C、RS485もしくは各種フィールドバス、Ether系等で出力するデジタル信号によるものとがあります。

中にはアナログ&デジタル双方のIOを持つものもあります。

正直な話、この部分は質量流量計としての流量を測る本質的な性能部分とは関係がないところなのですが、例えば電圧信号10mを超える長距離伝送に使うのは電圧降下とノイズ耐性の面からお勧めしません。

電圧信号より電流信号がノイズに強い理由は、エム・システム技研の計装情報Webマガジン“MST エムエスツデー”1993年10月号の記事をお読み頂くと良いかもしれません。



MFMでは正確に測定されていても、信号を送る過程での劣化によりそれが妨げられるのは困りものですから、電流出力等の適切な信号形態を選ぶべきです。

いつでも「マスフローは0-5VDC」という考えは、流量信号を内部で処理して流量制御をしてしまうMFCと違って、必ず流量を外部へ発信する役割を担うMFMにとっては、その役割を台無しにしてしまう可能性がある問題なのですから・・・


 


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
QRコード
QRコード
Decoへのメッセージ

名前
メール
本文
記事検索
タグクラウド
タグ絞り込み検索
  • ライブドアブログ