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EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

高速応答

応答性とは?

下図でMFC(マスフローコントローラ)の応答特性に関する用語を整理してみました。
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これは SEMI Standard  E17 “ マスフローコントローラの過渡特性テストのガイド” にて定義されてたものを参考にしています。
最近のマスフローメーカーが仕様書に記載する定義・用語は、そのほとんどがこれに準じていると思っていいでしょう。
MFCのゼロから設定値へ流量制御する応答性に関しては、「応答性能1秒以下」等とよく表記されます。
これには設定信号(SV値)が入力されてから、流量信号(PV値)が反応するまでの無反応時間(だんまり時間(Dead Time)が含まれています。

無反応時間を含むトータルの応答時間は整定時間(Settling Time)で表記するのが、今では一般的です。

図中のステップ応答時間(Step Response Time)と整定時間(Settling Time)は異なる定義であるので注意して下さい。
いずれも流量が設定値の±2%に到達することを目安としていますが、ステップ応答時間がその最初、つまり目標値の-2%を通過する時間の事なのです。
乱暴な言い方をすれば、ステップ応答を良く見せる為には、オーバーシュートを過多に調整すればOK。
整定時間の定義が導入されるまでは、こういったオーバーシュート含みの応答波形で出荷されるMFCが多く、顧客は仕様通りの圧力条件で使用しても、大きなオーバーシュートによりプロセスの問題を抱えて困ってしまいました。
MFCの最大ニーズのある半導体製造装置の大半はリアクターを高真空に維持してプロセスを行います。
これではせっかく排気側APCで高真空を保っても、ガス導入時のオーバーシュートによるガスサージで真空が破壊されてしまいます。
おまけにオーバーシュート過大なMFCはそのピーキーなPID特性から、オーバーシュートと、アンダーシュートを繰り返し、整定時間はかなり遅いのです。
その間、ガスをベントへ捨てて、流量が安定してから切り替えるという無駄を強いられることになってしまいます。
高価なプロセスガスですし、そのほとんどが毒性や可燃性を持つ危険なガスを、反応なしでそのまま捨てられるというのは、排気側にある除害装置への負担もかなり増やすことになり、良い事は何もありませんでした。
オーバーシュートレスの応答波形は、それだけ目標値へ緩やかに到達する為に、結果としてガスサージは生じにくく、更に応答の制定も早いのでいいことづくめなのです。

【MFC豆知識】by Deco  EZ-Japan 


真・MFC千夜一夜物語 第241話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その11<完>


もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2017年11号(10/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第39回は、“防爆構造のマスフローの解説<後編>”となっています。ATX本質安全防爆構造マスフローコントローラ(MFC)と新たに発表されたTIIS本質安全防爆構造のマスフローメーター(MFM)で流量制御を行う方法を解説しています。


さて、今回で“コリオリ式は完全無欠の質量流量計“編は完結です。
今までの記事をまとめる形になりますが、参りましょう。

同じ質量流量計に分類されながら、コリオリ式が熱式に勝るポイントはいくつもあります。
振り返ってみましょう。

・コリオリ式は物性不祥な流体や混合比率が変化する流体=液体、気体のみならず、超臨界流体の測定が可能
コリオリ式の流量式には熱式のような流体の物性に依存するものがありません。
これは流体の種類や混合比に関係なく、常に質量流量を測定できるという、一番優れたコリオリ式の特長となります。
故にコリオリは液体だけではなく、気体の測定も可能で、しかも超臨界状態でも測定ができる稀有な存在です。
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この特長は、半導体製造装置での液体材料気化供給システムで大きなメリットとして注目されています。 

・コリオリ式は分流構造が不要な単管構造でシンプルな流路構成が可能
コリオリ式のセンサー構造はシンプルな単管です。ここにすべての流体が流れる“全量測定”構造です。熱式はほとんどの流量レンジでセンサー管と層流素子(バイパス)に分流する“分流構造”をとっていますので、異物のつまり等で分流比が変化してしまうことで、いつの間にか指示値と実流量が大きくずれてしまうという問題を引き起こしたり、圧力条件で分流比が変化して再現性能に問題を起こしたりします。
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・コリオリ式は熱式と比較して高精度流量測定が可能
コリオリ式は熱式よりもSN比の優れたセンシングが可能になります。
流量精度+ゼロ点の安定性を含めたトータルエラーで検証するとその差は明らかです。

・コリオリ式は熱式と比較して高速応答が可能
熱の伝導を原理で用いる熱式は、そもそもの原理からして決して応答は速くはありません。
特に巻線型の場合、流体に直接触れて温度を測るわけではないので、センサーの生出力では数秒単位の応答性です。
それを後段の流量制御を行うPIDで高速であるかのように処理しているだけなので、コリオリ式とは応答性能でも差が生じます。

・コリオリ式は双方向の流量計測が可能
MEMS型の一部熱式は可能ですが、基本的に巻線型熱式流量センサーは流れ方向は1方向のみです。
コリオリ式は原理上、どちらから流れてきても同じ質量流量を出力できます。

・コリオリ式は温度・密度測定が可能
コリオリ式は、原理上流体の密度をモニターできます。
温度もチューブのバネ定数の補正情報として、測定しています。
そもそもコリオリ式は流量計としてだけでなく、比重計として使われることが多いのです。
そして、更にコリオリ式は、“流しながら測れる秤”として、いかなる流体であろうと、その質量を測定できる特性を活かして、今までロードセルが使用されてきたような薬液充填工程を高速充填、マルチ液体充填等の利点を生かして、設備更新しつつあるのです。

これらの優れた特長を持つコリオリ式マスフローを組み込んだ一つの成功事例として ”マスフローポンプ” が挙げられます。 
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<マスフローポンプ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

現在、製薬、化粧品、飲料、食品業界で注目のツールとなっています。
なぜならば、流す液体を問わず、暑いときも、寒い時も、ポンプが少しへたってきても、設定した質量流量で安定した液体供給が約束され、なおかつ脈動が限りなく無く、静かな供給システムだからです。

コリオリ式流量計は、現段階でも完全無欠といってもいい質量流量計ですが、これから更に進化していくと思われます。
目指すところは微小流量化、気体で使用する際の低圧損化でしょう。
期待して見守りたいですね。


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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