EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

APC

ブロンコスト大流量APC EL-PRESS

ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)APC(Automatic Pressure Controller)EL-PRESSシリーズは、国内メーカーの製品よりも大変ユニークです。

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図のようにMFC(Mass Flow Controller)とAPCはセンサーが流量センサーなのか?それとも圧力センサーなのかというところが大きな違いで、制御系、流量制御バルブは同じようなものだと再三ご説明してきたともいます。

el-press_p-602cv
出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
でも、ブロンコストにはこんなMFCとは異なる形のAPCも存在しているのです。
p-502c+F004
出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
このタイプはP-502C(圧力センサー+PIDコントローラー)と流量制御バルブを別々にしたものです。つまりAPCを二つに割った形ですね。
なぜこんな形なのでしょう?

それは大流量対応の為なのです。
圧力コントローラーは圧力制御なのになんで大流量対応が必要なの?という疑問には、そもそもこの種のAPCが圧力値を検知して、設定圧力値と一致させるために、流量制御バルブで流量を制御する事である空間にガスを流し込んだり、逆に抜いたりすることで、結果的に圧力を上下させる仕組みだという事を思い出してください。

容器の容積が大きくて、一体型のEL-PRESSのバルブのキャパシティーをオーバーしてしまう場合、こういったKv値の設定が大きい大流量用バルブと組合わせる事でどこまでも大きくできるのです。
上図のような配置も可能です。
P-502Cの出口側はプラグで封止してしまって使用します。

ブロンコストのEL-PRESSに関するお問い合わせはEZ-Japanまで。

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MFCに水が入ってしまった!

MFC豆知識です。
「ガス用のマスフローコントローラー(MFC)、オートマチックプレッシャーコントローラー(APC)に水分が混入してしまった!どうしたらいいか?」という御質問をよく頂きます。
MFC千夜一夜物語でも解説を行っているのですが、豆知識でもその対応をお話ししましょう。

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MFCとAPCの構造を図示してみました。
この2種は実は兄弟のような関係でして、センサーが流量を測る流量センサーなのがMFC.圧力を測る圧力センサーなのがAPCと考えてもらえばと思います。

この構造で水分が入った場合、バルブを全開にして上流から圧を上げた窒素のような不活性ガスでパージを試みて頂くのが、手っ取り早い方法です。

でも、そうもいかない場合があります。
それは両者の構造によるものです。
まずMFCの場合は・・・
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流量センサーと流量制御バルブどちらもです。
MFCの流量センサーは内径1mm未満の細いセンサーチューブと、同じくらいの径チューブの集合体であるバイパスで構成されていますので、ここに水分が入ると簡単に抜く事が出来ません。
そして流量制御バルブも流量レンジによりますが、オリフィス部とその周辺の空間にが細くなっていて水分が貯まりやすくなります。

APCの場合は・・・
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圧力センサーがダイヤフラムタイプの場合、非常にシンプルな流路になるのでまだいいのですが、やはり流量制御バルブ(APCのバルブはあくまで流量を制御して圧力を作り出すバルブでしたね?)はMFCと同様なのでやはり狭い流路があって水分が抜けません。

エタノールのような粘度の流体ならいいのですが、オイルやスラリーのように粘度の高い流体が入り込むとパージで抜くのは難しくなります。
その場合はメーカーのサービス窓口に相談いただいた方がいいですね。
その際はどういう異物が混入したかを正確に告知してください。
知らずに対応しようとしたメーカーのサービス担当が、危険な目に合わないように注意してあげていただきたいです。

MFC豆知識 by  EZ-Japan Deco

真・MFC千夜一夜物語 第416話 マスフローに関する誤解 その7

Decoが見聞してきた中で、マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)の使用方法に関して、一般的に大きな誤解があるなぁと思ったものを取り上げてお話ししていきたいと思います。
MFCとAPC(Automatic Pressure Controller)の話が出たので、このお話の最後におまけでAPCに関してもう少しお話しておきましょう。

以前の記事でAPCには背圧制御型と供給圧制御型が存在しているという解説をしましたね?
そして、APCには大きな弱点があることも・・・
それはAPCの一番大きな特長である「流体の圧力を測定し、予め設定された圧力値になるように制御バルブで流量を制御し、その制御した流量を送り込む、もしくは引き出す事で、結果として圧力を制御する」にあります。
つまりAPCは圧力をダイレクトに変化させている訳ではなく、背圧制御型ならば吐き出す、そして供給圧制御型なら送り込む流量を可変する事で結果として対象となるチャンバー(容器)の圧力を変動させている事にあるのです。
もし入口のみで出口がない容器、つまり袋小路のワークであった場合、APCから送り込まれた流量が過大であった場合、封入された圧力は設定圧力を超えて、二度と下げる事は出来なくなってしまいます。
その為、一般的にはポンプ等で積極的にチャンバーを排気するプロセスもあれば、若干与圧に保つべく機械的な絞りを設けた排気系を設けるようないわゆる出口を用意する事になるのです。
ここで供給圧制御型と背圧制御型の2つのAPCでチャンバーを挟んで対峙させる構造にするのですが、注意しなくてはいけないのは双方の圧力制御の干渉です。

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こういったAPCの持つジレンマを解消し、常にプロセスチャンバーを設定した圧力で安定させるAPCが開発されています。
先日ご紹介したブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)EL-PRESS/IN-PRESSP-800シリーズです。


P800
ブロンコストは供給圧制御型APC P-600、背圧制御型APC P-700で多くの実績を有しているメーカーです。
最大圧力400barまでと日本製APCとは比較にならない高圧領域で確実な動作を行える唯一の存在で、各種工業プロセスで活躍しています。
流量制御だけではなく、圧力制御も社業の一つとしているブロンコストからの提案されたAPCの新しい形がこのP-800シリーズなのです。
一見すると、MFCタイプのボディにバルブと思わしきものが二つ付いている不思議な形状ですね?
次回の解説でその姿の意味をお話ししましょう。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

プロセス圧力コントローラー P-800シリーズ その2

APC(Automatic Pressure Controller)には背圧制御型と供給圧制御型が存在しています。
この2種を融合したのが、今回ご紹介するブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)EL-PRESS/IN-PRESSP-800シリーズです。
P800
出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

今回はこの面白いAPCを具体的に紹介していきます。
ブロンコストは供給圧制御型APC P-600、背圧制御型APC P-700で多くの実績を有しているメーカーです。
最大圧力400barまでと日本製APCとは比較にならない高圧領域で確実な動作を行える唯一の存在であり、各種工業プロセスで活躍しています。
流量制御だけではなく、圧力制御も社業の一つとしているブロンコストからの提案されたAPCの新しい形がこのP-800シリーズです。
一見すると、MFCタイプのボディにバルブと思わしきものが二つ付いている不思議な形状ですが、そのフロー図は下図になります。

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ガスの入口にソレノイドの比例制御弁1があり、その下流に圧力センサーがあります。
この配置は供給圧制御型APCそのものです。
だが、大きく異なるのは圧力センサーの手前に分岐があり、そこから排気側へのパスが設けられている事だです。
そしてここにもう一つ比例電磁弁2が設けられています。
このモデルの異形さの原因であるボディ横に2つ配置されているバルブはこの2つの比例制御弁です。
これらは元々MFCやAPCで用いられる流量制御バルブと同じ構造のものです。

 では、実際の圧力制御で、これらはどのような動きをするのでしょうか?
P-800を使用するに当たって、特別変わった操作は必要ありません。
ユーザーはP-800の下流に設置するチャンバー内の圧力に関して希望する設定値を入力して、P-800に任せておけばよいのです。
まずガスを導入してチャンバーの圧力を上げていく際、P-800は下図左のような制御を行います。

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比例電磁弁1を開度調整し、比例電磁弁2は閉止します。
そうするとP-800は供給圧制御型APCとして圧力センサーで感知した下流の圧力測定値(P.V.)と設定入力された目標値(S.V.)を比較して、比例制御弁1の開度を自動制御します。

次に何らかの理由でチャンバー圧を下げたい場合は、P-800は図の右のように圧力を下げる動作を行います。
まず比例制御弁1を閉じてガスの供給を絶ち、今度は排気側の比例制御弁2を開度調整し始めるのです。
このモードでのP-800は、今度は背圧制御型APCとして圧力センサーで感知した下流の圧力測定値(P.V.)と設定入力された目標値(S.V.)が一致するように比例制御弁2の開度を自動制御しています。
圧力センサーは共通で、二つの比例制御弁で供給側と排気側の流量制御を必要に応じて使い分ける仕組みなのですね。

Decoもこのアイデアには驚かされました。
なかなか柔軟かつ、面白い発想ですね。
この二つのソレノイドを使った比例制御バルブの制御は口で言うほど簡単ではない筈です。
バルブ切り替えだけではなく、二つの制御弁の特性やKv値に応じた制御アルゴリズムの設定はかなり高度なものになると思います。
ブリード弁やリリーフ弁を不要としたことでチャンバー周りの部品点数を削減できますし、モジュール化したことで省配線にも大きな効果があります。
また、高価なガスや危険なガスを大気に開放することなく回収することも可能になるという利点も備えています。
ちなみにP-800シリーズの制御圧力レンジの最大はP-822CV/CIの10~200barとなっています。

興味を持たれた方は、EZ-Japan Decoまでお問合せ下さい。
 
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プロセス圧力コントローラー P-800シリーズ その1

APC(Automatic Pressure Controller)には背圧制御型と供給圧制御型が存在しています。
ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)にはEL-PRESS/IN-PRESSシリーズで、供給圧制御型APCの P-600シリーズ、背圧制御型の P-700シリーズがあり、今までも数多くの実績があります。

IN-PRESS
出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
ただ、残念ながらAPCには一つの大きな弱点があります。
それはこのタイプのMFCの構造を流用したAPCが「流体の圧力を測定し、予め設定された圧力値になるように制御バルブで流量を制御し、その制御した流量を送り込む、もしくは引き出す事で、結果として圧力を制御する」という特性の製品だからです。
つまりこの種のAPCは圧力をダイレクトに変化させている訳ではなく、背圧制御型ならば吐き出す、そして供給圧制御型なら送り込む流量を可変する事で結果として対象となるチャンバー等の圧力を変動させているのです。

もし入口のみで出口がない容器、つまり袋小路のワークであった場合、APCから送り込まれた流量が過大であった場合、封入された圧力は設定圧力を超えて、二度と下げる事は出来なくなってしまいます。
その為、一般的にはポンプ等で積極的にチャンバーを排気するプロセスもあれば、若干与圧に保つべく機械的な絞りを設けた排気系を設けるようないわゆる出口を用意する事になります。
ここで供給圧制御型P-600と背圧制御型のP-700でチャンバーを挟んで対峙させる構造にしないのは、双方の圧力制御が干渉しないように双方の制御定数をセッティングしなくてはいけません。
 
こういったAPCの持つジレンマを解消し、供給圧制御と背圧制御を両立させて常にプロセスチャンバーを設定した圧力で安定させる新しいAPCが、ブロンコストが開発したプロセス圧力コントローラーP-800シリーズなのです。
 P800
出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

なにやら今までのMFCやAPCとは異なる不思議な形をしていますね?
このプロセス圧力コントローラー P-800シリーズ
詳細は次回お話ししましょう。

ここでもう一押し by EZ-Japan Deco
EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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