EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

Bronkhorst

謎のマスフローコントローラー現る!

それは梅雨に入った、とある日の夕刻、ブロンコスト・ジャパン(株)から突然マスフローコントローラー(MFC)の写真が送られてきました!


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(写真はわざとぼかしておきます。)

「こ、これはなんだ!」
Decoが驚いた理由は、このMFCが背中に背負っているフランジ的な見慣れないデバイス・・・

メールには以下のメモがついていました・・・

「KV値 3の超低圧損タイプMFC」
「Max3000L/min」
「ボディはアルミかSUS」
「あと結構小さくて軽い」

「むむむ、これで3000SLMサイズのMFCだと!
バルブはどこにあるの??」by Deco



怪しいのはやはり背中のフランジですよね。
風神様の背負っている袋みたいです。
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国宝”風神雷神図” 俵屋宗達 
建仁寺蔵(現在は京都国立博物館に寄託)
建仁寺HPギャラリーより転載

 
「よし!このMFCの名前は”ヴァイエイト”だ!
色も青いしね。」
by Deco

・・・と、また一部の人にしか意味の分からない事を言いながら、このMFCの仕組みを考えるのが楽しくて仕方ないDecoでした。

詳しい情報がブロンコストから入りましたら、即お知らせしますね!

EZ-Japan MFCニュース by Deco

ブロンコスト EtherNet/IPとModbus TCP/IPに対応が可能に!

産業用イーサーネット vs フィールドバスの占有率は2019年段階で以下のようになっています。(HMS社予測値)

HMS_IEvsFB_2019
出典:”産業用ネットワーク市場シェア動向 2019”” (HMS 社統計)by Andrea Jacobson | 5 07, 2019



マスフローコントローラー(MFC)、マスフローメーター(MFM)の産業用イーサーネット&フィールドバス対応で、先頭を切っているブロンコストの現在の対応状況は2020年4月27日よりEtherNet/IPとModbus TCP/IPに対応が可能になるために、以下になる見込みです。

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<出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

これを先ほどのHMS社のシェア動向に当てはめると・・・
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このようにシェアで言うと、60%以上に対応している事になるのです。
これはなかなかすごい事です。
ブロンコストは、マスフロー(MFCとMFMの総称)の通信機能をモジュール化することに早くから取り組んでいた事が功を奏したのでしょうね。

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<出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

産業用ネットワークで何を採用するかは、業界、地域、実績(PLCメーカー)により好みがわかれるところです。
ただ、マスフローの流量測定&制御性能はどのネットワークを選んでも、差はないはずです。
今後はユーザーの多様な要求に応えられる品揃えを持っているか、いないかが、重要な要素になってくるのでしょうね。

EZ-Japan MFCニュース by Deco

真・MFC千夜一夜物語 第285話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その17

【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20196月号(5/25発売)では混合ガスをマスフローコントローラー(MFC)、マスフローメーター(MFM)で使用する際、そして混合ガスをMFCで作る場合の解説を行っています。

 

液化ガス

さて、長かったマスフローでこのガスを使う時は注意しよう!の最終話です。

今回登場するのは、MFCの大敵=液化ガスのボスともいえるガスの登場です。(最終話らしい展開ですね。)


フッ化水素(HFというガスを御存知でしょうか?

溶液はフッ化水素酸 (hydrofluoric acid) =フッ酸と呼ばれる大変危険な毒物です。

Decoがデビューした頃、当時の師匠に、「半導体工場バックヤードに入ったら、透明な液体を、けっして水とは思うな!」と教えられたことがあります。

これは「フッ酸のような危ない液体と見誤るな!」という意味でした。

フッ酸は経口最小致死量 = 1.5 gの恐ろしい毒物です。

更に皮膚に接触すると、体内浸透し、体内のカルシウムイオンと結合してフッ化カルシウムを生じ、激痛と共に骨を侵していくのです。多量に浴びれば、血中のカルシウムを喪失して死に至りますし、少量でも骨に穴が開きます
これは恐ろしい現象です。

 

こういった毒物を使っているのが、半導体製造装置なのです。

主な用途はクリーニングガスと呼ばれる洗浄用途です。

HFMFCを使った事例があったのですが、不具合が多く問題が多発しました。

液化ガス特有の液化の問題が1つでした。

液化したHF=フッ酸ですから、これがバルブ周りに残留した状態のMFCを修理したくても取り外す事すら憚られる状態になってしまいます。

その液化を防ぐ為に、当時のMFCはヒーターで昇温されて使用されいていたのです。

昇温自体は断熱膨張を起こしやすい液化ガスに対する対策として第283話でも説明したやり方で間違ってはいなかったのですが、問題が生じたのはコンバージョンファクター(CF)に対してでした。

HFCFは通常窒素に近い1.0と言われています。

ですが、このガスが厄介なのは温度によりCF0.31.0まで変化する性質がある事でした。

つまり温度条件を変えると、CFが大きく変化してしまい、流量がずれて行ってしまうという問題を抱えていたのです。

 

ここからはもう時効なので、お話しします。

Decoもガスメーカーさんの協力で、何度かその実験に参加させて頂き、ある程度の知見を得たのですが、これには温度だけでなく圧力条件も関わった複雑な要素があったのです。

ここまでCFが変動するガスの制御は簡単ではありませんでした。

当時、考えたのはPI-MFC(一次圧力変動抑制型MFC)を応用して、絶対圧センサーと温度センサーによりCFテーブルをリアルタイムに選定して制御するMFCでした。

LIL”という開発コードまで作って、考えられる“最後の熱式MFCとして世に出すつもりだったのですが・・・

 

今現在、HF用ではありませんが、実は同じ思想で作られたMFCがあります。

ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)のEL-FLOW Prestige FG-201CVP Pressure Insensitive MFCがそれです。

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このMFCはかなりマニアックな思想で作られていますので、カタログを一覧しただけでは、そのすごさは全くわかりません。

くしくもブロンコストも“最後の熱式MFCと考えているというこのMFCに関しては、またの機会にお話ししましょう。

 

窒素や空気で調整されたMFCにとって実ガス制御とは、そう簡単にいかないものです。

この章で例にとってお話ししたガスはほんの一部ですが、色々と参考にして頂ければ幸いです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

【新製品紹介】MEMSセンサータイプのコリオリ式マスフロー BL100シリーズ

久しぶりのEZ-Japan Decoのここでもうひと押し コーナーです!

 

ブロンコストは、従来のmini CORI-FLOWシリーズで、コリオリ式としては異例の微小流量化へ開発の舵を取ってきました。

 

これは大流量、プラント用がメインと思われてきたコリオリ式流量計の世界では、異端な出来事で、現時点で追従者はなかなかいない状況です。

従来のシリーズでの最小流量はM12ML120シリーズのフルスケール5g/hMFMで最小測定流量は0.05g/hMFCでの最小制御流量が0.1g/hでした。

これはコリオリ流量センサーをステンレスの細管で構成する上での最小流量と言ってよいです。

なぜならばこのレンジで使用するコリオリ式流量センサーの内径は既に0.25mmであり、これ以上のSUSの細管を独自の形状に曲げ加工してコリオリセンサーとして使用するのは不可能だと思えるからです。

 

miini CORI-FLOWのコリオリ式流量センサーの概略図を参照して下さい。

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<出展:youtube Bronkhorst チャンネル”mini CORI-FLOW Coriolis Mass Flow Meter, principle of operation”>


コリオリ式流量センサーの流量式を下図で示します。

既に本ブログでお馴染みの図ですね。

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回転系に発生する慣性力をコリオリ力として取り出す為に、振動系を構築すると、ある周波数で振動するU字配管に流体が侵入すると、その進路の垂直方向へコリオリ力が産まれます。

これには流体がある程度以上の密度が無い場合、流れによって生じるチューブの捻じれ振動数が、強制振動数に対してインパクトを生じないという弱点があります。

その為、微小流量の流体測定には、センサーチューブ自体の径を細くしていく必要があるのです。

ですが、前述の通りステンレス細管では既に限界と思えるサイズ要求であり、更なる微小流量用センサーを開発する上で大きな問題となっていました。

 

ブロンコスト社では、ここでMEMS技術を採用します。

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<出展:ブロンコスト・ジャパン(株)>

 
今までもMEMS技術で作られた流量センサーは数多くありました。

特に熱式ではMEMSセンサーが一つのムーブメントになったくらいです。

それに対してコリオリ式は、以前紹介したISSS社のものが先駆け的な存在ではあったものの、Decoの知る範囲では、今のところあまり存在していません。

  

今回、開発されたMEMSコリオリ式流量センサーは、BL100シリーズという新モデルに搭載されました。

 

新型MEMSセンサー搭載コリオリ式マスフローは更なる微小流量領域に踏み込み、マスフローメータで0.012 g/hのガスおよび液体の測定・制御を達成したとのことです。

これはどこの追従も許さないコリオリ式流量計としての最小流量記録をブロンコスト自身が塗り替えたことになり、すごいことだとDecoは考えています。

 

20191月末に催された国際ナノテクノロジー総合展、オランダ・ハイテク・パビリオンブースのブロンコストコーナーで日本初お目見えを果たしたBL100のデモ機を見せてもらいましたが、サイズ的には一般的なMFCのサイズなのですが、手に取った際のずっしりした重量感がすごく印象的でした。

今まで数多くのマスフローを手に取った経験があるDecoが、その重さに驚いたくらいなのです。

どうやらMEMS化したことで小型軽量化したコリオリセンサーへの外乱=振動影響を防ぐ為の工夫らしく、かなりの重量構造のフレームを採用しているようですね。

構造に関しては、情報が公開され次第、本ブログや計測技術誌の連載で取り上げたいと思っています。

 

 

現在、ブロンコスト・ジャパン()では、評価用デモ機を準備する用意があるとの事です。


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ただし、国産メーカーさんでよくあるような、「評価という名目でマスフローを1台、お客さんに置いていきますよ」ようなものではなく、お客様と守秘契約を結んだ上で最大6か月の評価貸出を行って頂き、その評価結果の開示が貸し出し条件になるとのことです。

 

興味を持たれた方は、Decoまでご連絡を!

早く実物の稼働風景を見たいものですね!

 

 

EZ-Japan ここでもうひと押し by Deco


真・MFC千夜一夜物語 第268話 コンバージョンファクターは1つではない その5


 もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」  20192月号(1/25発売)では、デジタルマスフローのフィールドバスと2018年にはついにフィールドバスとのシェアを逆転したと言われる産業用イーサーネットへの対応を解説しています。

 さて、本物語のラスボスの一つ“CFの信憑性”との戦いは続いています。

それではいってみましょう。

 CFへのセンサー方式による影響

 これはある意味当たり前と言ってしまえば終わりなのですが、ユーザーサイドでは知られていない事ですので取り上げます。
下図にあるインサーションタイプの全量測定型熱式センサーを搭載するマスフローと、巻線式分流測定方式のものとはCF値は共有されない。
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アルゴンFS600SLMMFMとして、巻線式分流測定方式F-113AC-1M0とインサーションタイプ全量測定方式のMASS-STREAM D-6370の比較を行ってみました。
ソフトが両者で異なりますので比較し辛いかもしれませんが、F-113AC-1M0CF1.422100%FSに対して、D-6370CF2.017100%FSなのです。
この2種類に関しては確かに熱式流量センサーを搭載しており、原理は同じ熱式流量計と考えてよいのですが、センサー構造が全く異なることから、別のマスフローであると考えなくてはなりません。
インサーション方式は、熱式流量計という名称で国内外各社から販売されており、現場で混在して使用しているユーザーが、マスフローとして一からげにして巻線式分流測定方式のCFで流量換算をされていたのを見かけたことがありますので、取り上げてみました。

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 “マスフローのラスボスの一つ”というのは大げさではとおっしゃる向きもありますが、かってはほとんどのマスフローメーカーが流体種とCFを一対一で表記=シングルCFで運用してきたことの信憑性にかかわってくる内容なのです。
今回の記事で分かってきたように、CF1つで管理するのはかなり乱暴なことであり、複数のCFが存在することは認めなくてはいけません。
現在、多くのマスフローメーカーはCF表の公開をやめ、マルチガス・マルチレンジ マスフローに移行しています。
要はシングルCFの限界をユーザーから指摘され、実ガス流量保証という名のマルチCFへの移行を行っているのです。

マスフローを使用する上で、校正ガスである窒素(空気)と実ガスの相関は、決して流量式だけで算出できるものではありません。
温度、圧力、流量レンジとマスフローの分流構造といった膨大なファクターを踏まえて、実ガス流量に近づける努力をマスフローメーカーは行っている。
だが、あまりにも膨大な作業量が目の前には広がっており、問題はその解を得たところで、それが商業的な成功と結びつくのか?という経営サイドからの問いに対してどうするか?なのです。
「メーカーは製品の根幹にかかわる技術の蓄積と整備を蔑ろにしては、成り立たない。」筈なのに、昨今の日本メーカーの品質上の不祥事続きは、「目先の利益につながるか?どうか?」を優先しすぎたしっぺ返しではないでしょうか?

マスフロー業界として、CFというものを一度総括し、この先のマルチCFとしての標準化をどう進めていくのか?という指針を出していかなくてはならないとDecoは考えます。
オランダという人口では日本よりはるかに少ない国で、ガス種、圧力条件、温度条件、モデル構造別にCFデータベース作り上げ、製品の製造工程で運用するだけでなく、その成果を社内資産でとどめず、FLUIDATのようなWEB上のアプリで全世界のユーザーへ発信するブロンコスト社の姿勢は、日本のマスフロー業界は大いに参考とすべきなのではないでしょうか?
 既報の半導体製造ガス流量ワーキンググループ(SGF-WG)発足”の動き等、日本のマスフロー業界でもこの戦いへの参戦が始まりました。
この試みに関しても、可能な限り本ブログでご報告していきたいと思っています。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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