EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

Bronkhorst

真・MFC千夜一夜物語 第377話 コリオリ式マスフローの良さが認知されてきました その5

マスフローメーター(以下MFM)、マスフローコントローラー(以下MFC、MFMやMFCの総称としてマスフロー) の中で、究極の質量流量計としてDeco推しておりますコリオリ式マスフローが最近日本でもようやくブレイクし始めました。
それはなぜでしょうか?

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コリオリ流量計の流量式にあるように、コリオリ式の測定原理には、同じ質量流量計である熱式流量計の比熱のような流体の物性に関わるものが一切含まれていません。
これは「コリオリ式は流体を選ばず質量流量を測定できる」という事を意味していて、流量計として他にないストロングポイントなのです。
なぜなら製薬や半導体のような技術革新ペースが速い産業分野では、物性が不明な新材料というものが日々登場してきます。
たとえ物性は特定できていても、温度・圧力条件が安定した状態で、流量を測定できるとは限りません。
環境条件の変化で刻々と物性が変化する流体も存在しますし、ましてや複数流体の混合流体に至っては、測定現場においてその混合比率が常に一定となるとは限りませんね?
このような用途では、流体種を特定できないと流量測定ができない熱式流量計は使いにくいのです。
かろうじて同一条件下での繰り返し性を担保するのがやっとです。
物性がわからない流体を質量流量測定できるコリオリ式流量計のメリットは限りなく大きいのです。
故にコリオリ式流量計こそが理想の質量流量計に近い存在であると、Decoは考えています。
以下にコリオリ式と熱式の比較をまとめてみました。
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しかし、理想の質量流量計に近いコリオリ式流量計にもウィークポイントは存在します。
外部環境変動影響からフリーではないのです。
まずセンサーチューブのバネ定数Ksを左右するファクターとして温度が挙げられます。
コリオリ式にはチューブの温度条件をモニターして温度補償させるための温度センサーが必要になります。
言い換えるなら、コリオリ式は温度補償が追従できないような急激な温度変動が生じる環境での使用には難があるという事になります。

また、センサーチューブを振動させる方式のため、外部環境からの振動影響も受けてしまいます。
例えば身近な機器で言えば、液体を圧送するポンプの振動です。
その為、コリオリ式流量計は大型化し、自重が重いものが多いのです。
微小流量用に小型化した場合は、制振台やインシュレーターで振動影響を押さこんだ設置を心がければいいのです。

そして現状でコリオリ式流量計の一番の弱点は、コリオリ力が発生しない、もしくは微弱にしか発生しないような密度の小さな流体、具体的には低圧条件の気体や微少流量液体の測定が難しいことです。
特に気体の流量測定では、その密度の小ささが災いして充分なコリオリ力が得られない事が多いのです。
この低圧、微小流量、気体と言った分野に注力したのが、ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)のmini CORI-FLOWシリーズなのでした。
mini cori-flow m
出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

FLOW-BUSを使ったデジタル通信のご提案

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM、MFC&MFMの総称をマスフローとします)をアナログ信号で制御信号を送ったり、流量信号を取り込むというやり取りは日本ではまだ根強いのですが、EUではほとんど使われなくなっているそうです。

数年前、ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech)のオランダ人エンジニアが不思議な顔をして、「日本はなんでまだアナログ信号を使ているんだい?」と尋ねてきた事があります。
確かにやり取りできる情報の質と量、記録に残したり、共有しやすさ、配線の簡略化を考えたらマスフローと直接デジタルで通信する方がメリットが多いのは確かさです。
わざわざアナログで送った信号も最終的にAD変換して、PLC等で制御していたりする場合も多いのですから・・・
まして日本で主流の電圧信号0-5VDCはノイズに弱く、伝送距離も稼げません。
せめて電流信号4-20mAにしたほうがいいのではと、Decoは昔から思っていましたが、なかなか日本という国には前例重視というか、保守的な層が多い為に実績がある0-5VDCからの移行は難しかったのです。

ただ、MFCのメインマーケットである半導体製造装置向けで変化が起こり、300mmウエハー装置でAMAT社の装置でフィールドバスであるDeviceNetが採用された辺りから、確実に風向きは変わりつつあります。
若い世代の研究者間では、デジタルが当たり前になりつつあり、昔ながらのLEDの表示器やボリュームタイプの設定器が徐々に需要が減っていきつつあるのが現状です。

そんな訳で今からデジタル通信に入門したい方には、ブロンコストオリジナルのフィールドバス”FLOW-BUS"がお薦めです。
ブロンコストは早くから自社開発のRS485ベースのフィールドバス”FLOW-BUS”を製品に搭載してきました。
シンプルな機器構成とブロンコスト提供する数々のアプリを使って快適にマスフローのデジタル通信化ができるようになっています。

中にはこのFLOW-BUSをLabVIEW​と組み合わせて研究に使うMFCをPCから制御しログを取るような仕組みを導入されたお客様もおられます。
また、既存のアナログで制御している装置に、デジタル通信を追加して、通常時はログを取るサブシステムとして運用し、非常時に装置本体がダウンしてPLCからの指示が届かない場合は、こちらからMFCを制御するようなシステムをご依頼いただいたこともあります。

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上の図のようにPCでモニタリングをしながら、通常の流量制御はPLCでアナログ信号で行うというシステム例です。
デジタルコマンドで制御の優先をデジタル(PC)側に切り替えれば、全てのFLOW-BUSのコマンドを使った制御が可能です。
全てPCから制御するのは怖いと言った世代は、こういったハイブリットシステムで対応するのも手ですね?
EZ-Japanまでご相談ください。

EZ-Japan MFCニュース by Deco

【続々報】FLEXI-FLOW Compact “TCS-Technology” 

ブロンコスト(Bronkhorst HIGH-TEC.B.V.  日本法人はブロンコスト・ジャパン(株))の発表した新製品 FLEXI-FLOW Compact に関する続々報です。


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出展:ブロンコスト・ジャパン(株) 日本語訳:EZ-Japan

前回確認中だった流量センサー部の構造に関する資料が一部公開されています。

FLEXI-FLOW Compactに採用された流量センサーは、TCS(Trough Chip Sensor)Technology バイパスフローセンサーと呼称されています。
今までの巻線型とMEMS型を融合して、巻線型センサーの器差の原因であったニクロム線を巻いたセンサーから脱却しつつ、従来培ってきた分流構造でのブロンコストのバイパスに関わるノウハウを活かし、広いレンジで高い精度、繰り返し性を維持できるセンサー技術なのです。
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基本的に、このセンサーは2つの真っ直ぐな窒化ケイ素キャピラリーで構成され、それぞれの直径は100μm、壁の厚さは1μmです。上部の温度依存の金属抵抗器は、ヒーターおよび温度センサーとして機能します。

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出展:ブロンコスト・ジャパン(株)

流路にただMEMSセンサーを置くのではなく、今まで培ってきた巻線型センサーのセンサー部をまさにMEMSで再現する事で、今まで培ってきた分流(バイパス)技術を利用した多彩な流量・圧力レンジでへの拡張性をうかがわせるブロンコストらしいマスフローセンサーだと思います。

まさに温故知新、Decoの好きな言葉です。

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠

FLEXI-FLOW Compact “MASS FLOW CONTROL Redefined” 

ブロンコスト(Bronkhorst HIGH-TEC.B.V.  日本法人はブロンコスト・ジャパン(株))の発表した新製品 FLEXI-FLOW Compact に関する続報です。

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FLEXI-FLOW Compact 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

ブロンコストはこの新製品を “MASS FLOW CONTROL Redefined” と呼んでいます。
Redefined は日本語では”再定義”を意味します。
つまり「質量流量制御の再定義」を行う製品だという事でしょうか?
公開されている情報だけでも、以下の特長があります。

・流量センサー、上下流の圧力センサー、温度センサーを搭載し、マルチパラメーターを実現!

・ブロンコストのどの製品よりも高速応答、セトリングタイム150mSec.を達成!

・22種類のガスデーターがメモリーしており、単一もしくはそれらの混合ガスにガス種を切り替え可能なマルチガス対応!

・EL-FLOW Prestige FG-201CVP 並みの温度・圧力によるCF補正機能搭載!

・EL-FLOW Prestige並みの高精度 ±0.5% RD+ ±0.1% FSを実現!

・ファームウエアの切り替えでAPC(Automatic Pressure Controller)としての運用も可能!


FLEXI-FLOW Compactのグレード構成は大きく分けて3種です。

拡張版(Preconfigured Advanced:PA)
4つのレンジ(Full Scale:FS = 0.5/2/5/20 ln/min、窒素ベース)のMFC、ターンダウン1:500、流量+圧力+温度測定

・標準版(Preconfigured Standard:PS) 
4つのレンジ(Full Scale:FS = 0.5/2/5/20 ln/min、窒素ベース)のMFC、ターンダウン1:50、流量+温度測定

・受注生産版(Built-to-Order:BtO)
 MFCとMFM、最小0.5 ln/minから最大20 ln/min(窒素ベース)の間から任意にレンジを選択、ターンダウン1:1000;マルチチャネル版(最大8チャネル)

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マルチチャネル版 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

Decoのお気に入りは、FLEXI-FLOW Compactのカラーリングは鮮やかなオレンジな事です。
オレンジと言えばオランダを表す色ですね!
ここでオレンジという色を選択してきたブロンコストの本気ぶりにDecoのテンションも一気に上がっています。
詳細情報は入手次第、追加告知していきますね!お楽しみに!

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠


ブロンコストの新製品!FLEXI-FLOW Compact!

4月5日、ブロンコストから新製品の発表がありました!

マスフローコントローラー(MFC)の新製品 "FLEXI-FLOW Compact"です!
まずはこちらの動画をご覧ください。



従来のコンパクトMEMSセンサータイプMFC IQ+FLOW よりは大振りなイメージですが、その分
フルスケール20SLMまで流量レンジを拡張できているようです。(IQ+FLOWは5SLMまで)

従来のEL-FLOWとの比較では、こんなに小さいのです!
(EL-FLOWも巻線型サーマルMFCにしては薄型なので、驚かれていたのですが・・・)
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Compact Multifunctional Mass Flow Instrument for Gases とあるように、MEMSの気体用熱式流量センサーを搭載したMFCでありながら、圧力センサー温度センサーも内蔵しています。
EL-FLOW Prestigeで搭載されたガスの温度・圧力コンディションにより変化するコンバージョンファクター(CF)をOn-boardで搭載したデータベースに基づいて自動補正する機能に用いる事が出来ます。
もちろん圧力センサーと温度センサーの情報を読みだして使う事も可能です。
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通信機能はオプションを装着すればBluetoothにも対応するようです。
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製品型式、仕様は、ブロンコストさんのブログ記事も参照下さい!
久しぶりにワクワクしてきそうな新製品、ブロンコストの FLEXI-FLOW!
興味を持たれたら、EZ-Japan までお問い合わせくださいね!

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠


EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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