EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

DeviceNet

フィールドバス対応マスフローとはいったい? その3

 

「えっ、それってPLCメーカーの数だけ、フィールドバス対応マスフローをマスフローメーカーは開発しなきゃいかんの?それにどんな意味があるの?」 


こんなセリフをDecoはフィールドバスの説明に来てくれた友人に投げかけてしまいました。

それに対して、「意味はないな。」 と、その友人も冷静に答えます。

 

フィールドバス対応のマスフローを開発するコスト、そしてODVAのような組織への加盟とコンフォーマンステスト受験費用、各通信ネットワークを用いた専用製造設備投資、更に通信基板の在庫負担を考えると相当な額であり、それをフィールドバスの件数だけ必要になるのです。

 

マスフローメーカーからすれば、本来のマスフローの性能とは関係のないI/Oの問題なので「この通信規格だからマスフローの性能が上がる」という事は一切ありません。

つまりネットワーク機器としての付加価値は付けられても、マスフローの基本性能である精度や繰り返し性、応答性への付加価値はゼロなのです。

それにコストと時間を費やすことは、大半が中小企業であるマスフローメーカーにとっては大変厳しいのです。
そのようなシチュエーションで、Decoが当時の会社の社長に予算獲得のプレゼンをしたとしたら、経営者サイドとしては「この全てを開発するつもり?ターゲットの絞り込みはできているの?」と真っ先に聞いてくるでしょう。


当時から300mmウエハー対応半導体製造装置では、大きなシェアを持つUSの装置メーカーがDeviceNetTMを採用する動きでしたので、それに合わせるというのも手ですが、肝心の標準採用MFCは、今は亡きUSの某社に決まっていましたから、日本のマスフローメーカーで参入できるかは未知数でした。

当時、日本の装置メーカーではその動きとはまた異なる方向に動いていましたし、学生時代は試験の山を張ることが得意だったDecoでも、さすがにこの予測は難しいなぁと思えたのです。

結局は顧客のPLCメーカーの嗜好、地区や業界による好み等が複雑に絡み合うのですから・・・

 

「うーん困ったなぁ・・・」


Deco
の頭には、どう説明しても社長の怒鳴る姿しか浮かびませんでした・・・

仕方ないのでそのまま友人と飲みに行って、他愛ない話をしていたのですが・・・

突然、ふと良いアイデアが浮かんだのです!


「あ、そうだ!こうすればいいかも!」

それは我ながら良い考えでした。
でも・・・”Decoさんあるある”で、そのアイデアは社内では不評で採用されませんでした・・・

そして15年後・・・ブロンコストさんのオプションフィールドバスインターフェイスの資料(下図)を見た瞬間・・・
181106
【出典:ブロンコスト・ジャパン()

 


「だから、こうしようって言ったのに!!」

・・・と、年月が経ってから悔やむDecoだったのでした。

 

マスフロー徒然日記 by Deco EZ-Japan

フィールドバス対応マスフローとはいったい? その1

新しく"Decoのマスフロー徒然日記”なるカテゴリーを作りました。
マスフロー千夜一夜物語はDecoのマスフローに関する知識で構成されていますが、それに対してこのカテゴリーでは、Decoのマスフローに対する思いでかたどられます。
ぶっちゃけると少し偏ってるかな?というような内容や、愚痴に近いものもあるかもしれません.
マスフロー千夜一夜物語よりくだけた読み物としてお付き合いください。


フィールドバス対応というとマスフローの業界では一番にDeviceNetが出てきます。
mini cori-flow m
フィールドバス&産業用イーサーネット対応マスフロー 
【出典 ブロンコスト・ジャパン(株)】


ご存じない方の為に少し説明を書きますと、DeviceNetは1994年にUSのアレン・ブラッドリー社が発表したFA向けの制御ネットワークです。
こういったネットワークをフィールドバスと呼称し、欧州のProfibus、日本のCC-Link等制御に用いるPLCのメーカーが旗頭になってます。
目的はネットワーク仕様のオープン化です。
例えば同じDeviceNetを使用する場合、マスフローや圧力センサー、バルブといった配管機器間の通信に互換性を確保する試みです。
アレン・ブラッドリー社は、ODVA(Open DeviceNet Venders Association)という組織をUSで作りましたので、現在はODVAがDeviceNetを所有、管理しています。
ベンダー(マスフローメーカー)はODVAに参加することで、DeviceNetの仕様を開示され、それに対応したマスフローを開発できるわけです。

ただ、前述のごとく、地域ごとに、PLCメーカーごとにこのネットワーク規格は乱立(失礼!)してしまっているので、さてどのフィールドバスネットワークを選べばよいのか?悩みの種なのです。
現在(2018年)の資料を見てみましょう。

181017_01

出典:HMSインダストリアルネットワークス 産業用ネットワーク市場シェア2018
Anybus News ”産業用ネットワーク市場シェア動向 2018 (HMS 社統計) — 産業用 Ethernet がついにフィールドバスのシェアを上回る” by Thomas Carlsson | 2 16, 2018

ここでさらに事態を複雑にするのは、産業用イーサーネット(Industrial Ethernet)の台頭です。
2018年の市場予測では、フィールドバス(Fieldbus)を凌ぐシェアと成長率になっています。
*産業用イーサーネットの内容をここで書くのは割愛します。

問題は産業用イーサーネットの台頭もあり、マスフロー業界で流行りの筈のDeviceNetのシェアは全体の4%にすぎない・・・という事なのです。
うーん、これって果たして・・・と思うDecoなのでした。
<つづく>

マスフロー徒然日記 by Deco EZ-Japan


EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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