ローコストマスフローコントローラー(MFC)というのは、色々なメーカーから出ているのですが、あまりDecoにご相談いただいても・・・なカテゴリーになります。

「こんな条件で使えるMFCありませんか?」
「こういった流体を測れるものはありませんか?」

というお問い合わせは多いのですが、わざわざ「Decoさん、安くなりませんか?」と聞く手間があれば、たいていの方はメーカーさんへ直接問い合わせをされますから・・・

でも、「Decoさん、ブロンコストのMFCで安くていいのありませんか?」というお問い合わせになら、答えられそうなモデルがありました。

その名も EL-FLOW Classic です。
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EL-FLOW Classic 出展:ブロンコスト・ジャパン(株)

通常お勧めするブロンコストの主力製品 EL-FLOWシリーズと比べると、似てますが少しだけ違いますね。
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EL-FLOW  出展:ブロンコスト・ジャパン(株)
色が違う・・・これはEL-FLOWと差別化して純白のラベルになっています。
(スノーホワイト(白雪姫)とDecoは勝手にネーミングしています。)
この色とClassicという言葉が示すのは、”最近はやりのデジタルマスフローではなくアナログMFCですよ!”ということです。
なので、ブロンコストの得意なデジタル通信でPCから操作、ロギングという用途にはお使いいただけません。
↓のPTS-002EXTのようなアナログ信号で入出力IOを持つ、表示設定機能付電源が必要になります。

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PTS-002EXT 出展:(株)タテヤマ製作所

また本体性能も制限されます。
EL-FLOWの精度性能が ”±0.5%R + 0.1%FS"  というサーマルマスフローでは最高レベルのものなのに対して、”±1%FS” となっています。
これでも一昔前のマスフローのスタンダードスペックなのですが・・・

色以外で目に付くのは「継手がついていないじゃないか!」という部分かと思います。
これは付いていないのではなくて、本体に1/4”Gネジ(BSPP)が切ってあります。
本体ボディへのねじ切りまでは、ブロンコストが製造する製品なのですが、Gネジオスから各種継手への変換継手は継手メーカーさん(Swagelok社)の製品、つまりブロンコストにとっても購入品なのです。
だからコストダウン優先となれば、原価比率の高い購入部品は”排除”して、この部分の選択はお客様にお任せしてきたわけですね。
ただ、EU圏と違って、国内ではBSPPネジにあったコンプレッション(LOKタイプ)継手等への変換継手はなかなか入手しずらいかもしれませんから、そこはDecoにご相談いただければ、継手のプロショップをご紹介いたします。

ガス種・流量レンジ、圧力条件もEL-FLOWと比べて制限されています。
ブロンコストHPから ”EL-FLOW Classicカタログ” 9.60.011 をDLして参照ください。

また、添付されるドキュメントにも差がありまして、通常のブロンコスト製品は Caribration Data Sheet=校正証明書 (国内メーカーで言うところの検査成績書)が一台につき1枚添付されています。
ですがClassicには付いてきません!
「えーっ!いくら安くても困るよ!」とおっしゃる向きもあるかもしれませんが、何の保証もなくめちゃくちゃな製品を世に出すような事は、オランダ人気質が絶対認めません。
”Statement of Compliance”=校正適合性に関する声明 というのがこちらもブロンコストのHP”校正の適合性声明” 9.06.072 としてアップされていますので見てやってください。
「ブロンコスト製品に関しては、トレーサブルな高精度流量基準器を用いて校正している。EL-FLOW Classic に関しては、<±1%FS (@校正条件)という精度基準で管理されたものをお届けする。」という宣言ですね。

個々の検査結果を記述した書式ではなく、一括した宣言で対応させてほしいというのはEUのメーカーのローコスト品ではよくある手法です。
日本の場合、人が書いたりするものはタダ!でしょ?的な考えが根強いのですが、冷静に考えたらドキュメントを作成するというのは、もろに人の工数を要しますので、ローコストになればなるほど原価に占める構成比率が高くなっていきます。
「ローコストでも、確かな性能・品質のものを得たい」という相反する要求に対して、やはり削れるところは、こういった人の手を要するところなのですね。

保証期間もブロンコスト製品が3年のところを、1年にしていますが、これも国産品では1年はよくあることでした。
だからといってEL-FLOWは3年もつけど、Classicは1年で壊れる粗悪品、もしくはブロンコストタイマー付きの安物・・・というわけではありませんので、ご安心ください。

「安くてよいものを・・・」という思想は、いつの間にか「もっと安くして欲しい、でも、あれもこれもなきゃいやだ!仕様も品質も添付書類や梱包に至るまで何ら変えずにコストを落とす、それが企業努力でしょ?」という一方的にメーカー側に押し付ける言葉にすり替わる事があります。
今、巷で問題になっている日本のメーカーは素直にそれに応じようとして、品質や財務面でのウソを重ねていって経営状態を傾けてしまったのではないでしょうか?

「何かを得るためには、何かを捨てなくてはならない」という理屈をご理解頂けるようでしたら、一度Decoまでご相談を・・・
こう言っちゃなんですが、確かに安いですよ!


【MFCここでもうひと押し!】 by Deco EZ-Japan