EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

EL-FLOWPrestige

Decoの選ぶサーマル マスフローコントローラの究極形 ~ EL-FLOW Prestige その2

以前、Decoの選ぶサーマル マスフローコントローラの究極形 ~ EL-FLOW Prestige という記事を書きましたが、その続きです。



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【EL-FLOW Prestige PIモデル F-111BP & F-201CVP 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

今回紹介するのはEL-FLOW PrestigeのPI(Pressure Insensitive)モデルである、サーマル(熱式)マスフローメーター(MFM)のF-111BPとマスフローコントローラー(MFC)のF-201CVPです。

「なんだ・・・PI-MFCは、どこのメーカーでも出しているよね?」
という声が聞こえてきそうですね・・・
でも、このブログを読んでもらってる読者ならば・・・
「え?PIってMFCはあっても、MFMは無いのでは?」
という疑問を持たれたかもしれません。

その通りで、ブロンコストのPIはそもそも他社のPIとは意味合いが異なるのです。
「一次側圧力が変動した際に、MFCの流量制御が受ける影響を最小限にする」のが、一般的なPI-MFCなのですが、EL-FLOW Prestigeでブロンコストが提唱したのは、「温度・圧力条件が変わることで流体の物性が変化しても、補正により正確な実ガス流量を測れるMFM/MFC」なのです。

圧力変動が影響を及ぼす箇所は、流量制御バルブではなく、流量センサーであり、それを補正するという考えなのですね。
はい、これが熱式流量センサーを搭載するMFM/MFCの最大の弱点でした。


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上図にあるように、熱式流量計の流量式にはCp:流体の定圧比熱が含まれており、この値を押さえる=流体種を特定して、温度・圧力のマトリクスから定圧比熱を導き出す必要があるのです。
この値が不正確ならば、得られた流量値も不正確なものになってしまいます。
また、熱式流量センサーは、それ以外にセンサーが層流素子(バイパス)との分流構造になっているものがほとんどであるために、この分流比も流体の温度・圧力による密度、粘度の変動影響を受けています。

要は熱式流量センサーをちゃんと動作させるためには、実はリアルタイムで温度・圧力を測定して、最適な値をコンバージョンファクター(CF)として選択して流量センサーからの生出力を補正しないとないといけないのです。(このお話はマルチCFの話とも絡んでいますので、そちらもお読みください。)

今までのマスフロー(MFC&MFMの総称)はそれができていませんでした。
そこに踏み込んだからこそ、EL-FLOW PrestigeはDecoの選ぶサーマル マスフローコントローラの究極形なのです。

EL-FLOW Prestige 取扱説明書にも以下の記載があります。

An innovative static compensation algorithm ('FLUIDAT On Board') uses the actual fluid temperature and pressure to calculate fluid properties in real time. Density,viscosity, thermal conductivity and heat capacity of the processed media changeunder the influence of pressure and temperature.
The Fluidat On Board algorithm continuously recalculates these properties and uses them to adjust the gas flow.

シングルCFの頃は、どんな流量レンジでも、温度・圧力条件でもCFは1個と決まっていました。
それでは対応できない流体、プロセスがあることがユーザーからの指摘で分かってきたので、マルチCFへとマスフローは進化しました。
これを実ガス流量保証とか、MGMRという呼称で販売しているのです。

ブロンコストのマスフローをご紹介する時に、圧力条件等をしつこく確認させていただくと、ユーザーさんからは「マスフローだし、適当で大丈夫でしょう?」とか、「他のマスフローメーカーはそんな細かい事を聞かないよ。」と言われることがあったのですが、実はこういった背景でマルチに存在するCFから最適なものを選ぶためだったのです。
ですが、そのマルチCFモデルでも温度、圧力条件の変化にリアルタイムでCFを再計算して対応できるわけではなかったのです。
ついにそこを突破して、内蔵した温度センサー・圧力センサーで情報を得て最適なCFをマスフローが自動で選択することができるようになったのです。

前にもお話ししましたが、このコンセプトはDecoも日本のマスフローメーカーで実用化しようと考えていましたが、諸事情で断念した”LAST IN LINE”という開発コードのMFCと同じなのです。

流石にブロンコスト!と思わせるサーマルマスフローの究極形 ~ EL-FLOW Prestige 
是非お試しください。

EZ-Japan ここでもうひと押し by Deco

真・MFC千夜一夜物語 第285話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その17

【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20196月号(5/25発売)では混合ガスをマスフローコントローラー(MFC)、マスフローメーター(MFM)で使用する際、そして混合ガスをMFCで作る場合の解説を行っています。

 

液化ガス

さて、長かったマスフローでこのガスを使う時は注意しよう!の最終話です。

今回登場するのは、MFCの大敵=液化ガスのボスともいえるガスの登場です。(最終話らしい展開ですね。)


フッ化水素(HFというガスを御存知でしょうか?

溶液はフッ化水素酸 (hydrofluoric acid) =フッ酸と呼ばれる大変危険な毒物です。

Decoがデビューした頃、当時の師匠に、「半導体工場バックヤードに入ったら、透明な液体を、けっして水とは思うな!」と教えられたことがあります。

これは「フッ酸のような危ない液体と見誤るな!」という意味でした。

フッ酸は経口最小致死量 = 1.5 gの恐ろしい毒物です。

更に皮膚に接触すると、体内浸透し、体内のカルシウムイオンと結合してフッ化カルシウムを生じ、激痛と共に骨を侵していくのです。多量に浴びれば、血中のカルシウムを喪失して死に至りますし、少量でも骨に穴が開きます
これは恐ろしい現象です。

 

こういった毒物を使っているのが、半導体製造装置なのです。

主な用途はクリーニングガスと呼ばれる洗浄用途です。

HFMFCを使った事例があったのですが、不具合が多く問題が多発しました。

液化ガス特有の液化の問題が1つでした。

液化したHF=フッ酸ですから、これがバルブ周りに残留した状態のMFCを修理したくても取り外す事すら憚られる状態になってしまいます。

その液化を防ぐ為に、当時のMFCはヒーターで昇温されて使用されいていたのです。

昇温自体は断熱膨張を起こしやすい液化ガスに対する対策として第283話でも説明したやり方で間違ってはいなかったのですが、問題が生じたのはコンバージョンファクター(CF)に対してでした。

HFCFは通常窒素に近い1.0と言われています。

ですが、このガスが厄介なのは温度によりCF0.31.0まで変化する性質がある事でした。

つまり温度条件を変えると、CFが大きく変化してしまい、流量がずれて行ってしまうという問題を抱えていたのです。

 

ここからはもう時効なので、お話しします。

Decoもガスメーカーさんの協力で、何度かその実験に参加させて頂き、ある程度の知見を得たのですが、これには温度だけでなく圧力条件も関わった複雑な要素があったのです。

ここまでCFが変動するガスの制御は簡単ではありませんでした。

当時、考えたのはPI-MFC(一次圧力変動抑制型MFC)を応用して、絶対圧センサーと温度センサーによりCFテーブルをリアルタイムに選定して制御するMFCでした。

LIL”という開発コードまで作って、考えられる“最後の熱式MFCとして世に出すつもりだったのですが・・・

 

今現在、HF用ではありませんが、実は同じ思想で作られたMFCがあります。

ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)のEL-FLOW Prestige FG-201CVP Pressure Insensitive MFCがそれです。

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このMFCはかなりマニアックな思想で作られていますので、カタログを一覧しただけでは、そのすごさは全くわかりません。

くしくもブロンコストも“最後の熱式MFCと考えているというこのMFCに関しては、またの機会にお話ししましょう。

 

窒素や空気で調整されたMFCにとって実ガス制御とは、そう簡単にいかないものです。

この章で例にとってお話ししたガスはほんの一部ですが、色々と参考にして頂ければ幸いです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

Decoの選ぶサーマル マスフローコントローラの究極形 ~ EL-FLOW Prestige

Decoの選ぶサーマル(熱式)マスフローメータ(MFM)&マスフローコントローラ(MFC)の究極形は、ブロンコスト(Bronkhorst HIGH-TECH B.V.) の EL-FLOW Prestigeシリーズ です。

その EL-FLOW Prestigeシリーズがバージョンアップをするとのニュースが入ってきました。
既に2018年のアップデート内容は、本ブログ記事でお知らせしたとおりなのですが、2019年になって更に隠し玉的な内容があったようです。

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<EL-FLOW Prestige 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

今までEL-FLOW Prestigeシリーズはマルチガス対応として、25種類のガス種とそれらを最大5種まで任意濃度で混合したガスにガス切り替えが可能なデータを本体に内蔵していました。
これは、FLOW-TUNEというブロンコストが配布しているソフトを使用して、windows-PCからユーザーサイドで簡単に切り替えが可能な優れものです。

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<FlowTune 画面 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

今回のバージョンアップで、EL-FLOW Prestigeシリーズは、その内蔵しているマルチガスデータを拡充、好評いただいているオンライン・マスフロー及び物理量計算ソフトである FLUIDAT on the Net にアップされているガス種全てを網羅するという、素晴らしい進化を遂げるというのです!

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<FLUIDAT on the Net 画面 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

これは素晴らしいことです。
なぜならDecoが選ぶ究極のマスフローであるEL-FLOW Prestigeシリーズは、本来熱式流量計であるマスフローのコンバージョンファクター(CF)が、圧力・温度・流量レンジ・分流構造により影響を受けてしまい、一種類のガスに対して一対一ではなく、一対多、つまりマルチCFであるという弱点をカバーすべく、ハード側で測定した温度、圧力条件で自動補正してくれるグレードを有する、真の意味での実ガス流量に限りなく近い流量測定・制御が可能なマスフローだったからです。

そのマスフローにFLUIDAT on the Net の100種を超えるデータが搭載されるとすれば・・・まさに鬼に金棒!真の究極にまた一歩近づいた姿に進化することになるからです。

導入開始時期など詳細はこれから発表されると思いますが、楽しみにして待ちたいですね!

EZ-Japan MFCニュース by Deco

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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