EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

FLEXI-FLOW

真・MFC千夜一夜物語 第415話 マスフローに関する誤解 その6

Decoが見聞してきた中で、マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)の使用方法に関して、一般的に大きな誤解があるなぁと思ったものを取り上げてお話ししていきたいと思います。

今回はAPC(Automatic Pressure Controller)とMFCを直列に接続した場合の問い合わせに対応してみましょう。
「二次圧(供給圧)制御型APCとMFCを直列に接続したら安定しないのです!」という質問に対するDecoの回答は「当たり前なので、やめてください。」というこれまたそっけないものです。
なぜならAPCとMFCは前回お話ししたようにどちらも流量を制御するバルブを備えているからなのです。
それが直列に1対1で制御をしている場合を想像してみましょう。
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MFCが流量を流そうとしてバルブを開くと一時的にMFC上流=APCにとっての下流配管からガスが多く払い出されてしまうので、この部分の圧力が低下してしまいます。
圧力低下をAPCの圧力センサーが検知すると、当然APCのバルブを開くことでAPCの上流から不足している分のガスを流して圧力を回復させようとしますね。
APCとMFCの個々の役割分担が上手く作動している場合、つまり比較的設定流量、圧力が一定で圧力変化が少ない場合は良いのです。
だが、そうでない場合、あるタイミングでMFCとAPCの自動制御がケンカを始めてしまうことがあります。
最悪は両方の制御がオシレーションを起こしたりして、延々と落ち着かなくなってしまうような状況に陥ってしまう事もありました。
これは、両者が同じ流量制御する方式の制御バルブを使いながら、MFC側はセンサーの応答速度が遅い熱式流量センサーと、APC側は比較的速い歪み検出型の圧力センサーを搭載しているのが一因です。
(この問題は実はAPCでなくても機械式調圧器とMFCとの間でも起きます。
レギュレーターとMFCとの配管距離が極端に近く、MFCに払い出すガスのバッファーが少ない場合に発生しやすくなる傾向がありました。)

APCとMFCでの制御トラブルが生じた場合、制御系に精通した技術者が居合わせれば、MFC側の応答定数を再調整することで、なんとかなだめすかしてもらえます。
だが、それはある意味、片方の制御をダルくしてしまうこと=存在意味がないことにもなりかねないので、筆者はAPCとはMFMの方が相性は良いし、それなら圧力センサーと流量センサーを二つ、流量制御バルブを一つ搭載したハードを作り、MFCと圧力センサーの組み合わせモードと、APCとMFMの組み合わせモードを切替えて使えればいいのではないか?と考えていたら、ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)でも同じことを考えた技術者がいたようで、昨年FLEXI-FLOW Compactという新世代のモジュールが発売されました。

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出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

当然、これだけ複雑なモード切替を行うモジュールなので、デジタル通信オンリーな仕様となった。アナログが大好きな日本市場で果たしてどうだろうか?という懸念はあるのですが、Decoは全面肯定派です。
こういったフローコントロールの未来を見据えた提案が産まれてくることを歓迎したいと思っています。
 
  【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


真・MFC千夜一夜物語 第371話 ダウンサイジングこそ技術革新の証です その8

マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC、MFMとMFCをマスフローと総称。) のダウンサイジングに関しての解説の最終章です。

MFCが出現して以来、そのダウンサイジングへの要求は絶えず、それに対する開発は色々と寄り道を強いられながらも、続いてきました。
その道は半導体製造装置向けというMFCのメインマーケットとそれ以外の一般産業用途では大きく異なる道に分岐しきました。
1990年代後半の熱式流量センサーのMEMS化が一つの大きな転換点でしたが、半導体プロセスで使用される腐食性ガスに対して、ヒーター、熱電対部を直接さらすMEMS方式はNGという判断が下されたのに対して、一般工業向け特に装置が小型でフットプリントへの要求が厳しい分析装置向けではブロンコストのIQ+FLOWといた今までのMFCの概念を打ち破るような製品が出現して、今に至っています。

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【IQ+FLOW マニホルドタイプ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】
MFCのメインマーケットであった半導体製造装置産業では、画期的なダウンサイジングに至るのは2020年代の圧力式流量検出方式を搭載した10mmMFCまで待つ必要がありました。

その間にブロンコストは更にこの小型MFC分野を追求し、サイズ的にはIQ+FLOWよりは大きいのですが、その分流量レンジや仕様圧力を拡大したFLEXI-FLOW Compactという新世代の流量センサーであるTCS(Trough Chip Sensor)Technology バイパスフローセンサーを搭載したモデルをこの春に発表しています。

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【EL-FLOW vs FLEXI-FLOW Compact 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】
今後、MFCのダウンサイジングはどの方向へ行くのか?
Decoはもう一つの解として全量測定できる流量センサーであるコリオリ式流量センサーのMEMSタイプにも、その解があるのではないかと考えています。
従来のMEMS、ブロンコストの開発したチューブタイプのTCS Technology バイパスフローセンサー、半導体向けの圧力式流量センサー、これらの更なる進化の兆候が見られたら、その都度ブログで解説していきますね!

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第369話 ダウンサイジングこそ技術革新の証です その6

マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC、MFMとMFCをマスフローと総称。)ダウンサイジングの歴史に関して解説していきましょう。

一般産業、特に分析装置のように卓上で使用するような小型装置の場合、マスフローが占めるフットプリントと重量の軽減は、非常にインパクトが大きいです。
その点でブロンコストのIQ+FLOWはイノベイティブな存在です。
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【IQ+FLOW  提供:ブロンコスト・ジャパン、撮影:EZ-Japan】

寸法はW:40×D:20×H:60mm(継手を含まず)です。
公平を期すために同社の現行のスタンダードモデルであるEL-FLOWシリーズの諸表を紐解くとW:77×D:25×H:112mm(継手を含まず)であり圧倒的なダウンサイジングを達成しているのがわかります。
重量もアルミボディのモデルで200gと一般的なMFCの1/5~1/6まで軽量化されているのです。
ダウンサイジングで忘れられがちですが、重量削減の占めるファクターも大きいのです。
それは装置全体の重量を削減させる事のメリットもありますが、MFCを取り付ける際の工数削減にもなります。
IQ+FLOW用のセンサーは、他のブロンコスト製品とは異なり、MEMSタイプの流量センサーを搭載しているからこそ、ここまで軽量コンパクトにまとめる事が出来たのです。
このサイズで流量制御バルブを搭載したMFCである事に驚くユーザーは多いですね。
流石に流量レンジ上限は窒素ベースで5SLMまでにとどまります。
MEMSセンサーの効能で応答速度 0.3秒以下であり、決して通常サイズのMFCに見劣りはしませんし、圧力定格は10bar=1MPa(G)までと、他のブロンコスト製品と比較すると低いのですが、国産マスフローとは同等です。
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【IQ+FLOW マニフォールドタイプ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

IQ+FLOWシリーズは単体でもコンパクトなのですが、装置メーカーのような定期的購入が前提のOEM顧客向けに、複数ラインのMFCを一体化したマニフォールド・ソリューションも提供しています。
写真のようにMFCを3ライン連結してみたり、MFC以外にもIQ+FLOWサイズのAPC(Automatic Pressure Controller)や閉止バルブ、三方バルブ、フィルター、ガス混合マニホルドを組み合わせた本格的なガスシステムを最小限のフットプリントで再現し、同時に省配線化も実現するのです。配管接続の無い一体構成はリークポイントの削減による安全性向上、トップマウント構造でメンテナンス性向上をも提供します。

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【FLEXI-FLOW Compact 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】
EUの分析装置ではガスクロマトグラフ(GC)のインジェクター部の流量・圧力コントロールや、高速液体クロマトグラフ(HPLC)の検出部の流量制御、水素炎イオン化検出器(FID)の検出部の流量制御等で既に多く採用されており、日本でも分析装置以外でもエアリークテスターなどで導入されています。
一般工業向けMFCのダウンサイジングは、MEMS流量センサーのデビューと共に大きく前進したが、ブロコストのIQ+FLOW、そしてこの春登場した20SLMまでをカバーするマルチガスタイプのFLEXI-FLOW Compactは、その先端を走るマスフローと言えるでしょう。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


真・MFC千夜一夜物語 第368話 ダウンサイジングこそ技術革新の証です その5

 マスフローメーター(MFMマスフローコントローラー(MFCMFMMFCをマスフローと総称。) ダウンサイジングの歴史に関して解説していきましょう。
今回からは、現在進行形で進んでいるマスフローのダウンサイジング技術に関する解説を行いましょう。


ここでは大きく分析装置のような一般産業向けと半導体製造装置向けに分けて話を進めます。
これは半導体製造装置向けとその他の用途装置では、マスフローに対する要求事項が大きく異なるからです。
具体的に言えば、ダウンサイジングに最も有効である熱式流量センサーのMEMS (Micro Electro Mechanical Systems)が受け入れられるか?です。
従来型の巻線タイプとMEMSタイプの構造比較を下図で見てみましょう。

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巻線型は層流素子(バイパス)と組み合わせた全体像は下図のような形となります。

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ほとんどの巻線型はセンサーの内径が1mmΦ以下のステンレスチューブでできています。
そこに流せる流量は510SCCM程度で、残りは全てバイパス側に流さなくてはいけません。
例えば5000SCCMなら49954990SCCMを流せるスペースを確保しないといけないという事なのです

MEMSタイプと同じ流量レンジで比較すると、ダウンサイジングという要求に対して不利な構造であるのがわかります。

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巻線型とMEMS型MFC 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

MEMS型も流量に応じて当然バイパスは必要になりますが、直接流体に触れる分、MEMES型はセンサー感度が良いので、センサーとバイパス分流比を巻線型のそれより小さく設定できる利点があります。
それは同じ流量レンジで比較するとバイパス部を小型化できるという点でダウンサイジング技術を進めるうえでは生きてくるのです。

 

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真・MFC千夜一夜物語 第365話 ダウンサイジングこそ技術革新の証です その2

マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC、MFMとMFCをマスフローと総称。) のダウンサイジングの歴史に関して解説していきましょう。

まずはマスフローの標準的なサイズの話からです。
1980年代後半、マスフローが半導体製造装置を中心に飛躍的にその市場を拡大していった時代にメーカー間の寸法の互換性は無いに等しい状況でした。
市場への新規参入者は既存メーカーの置換という形で実績を積み上げていくのが、このマスフロービジネスの正道でしたから、自然と先行するメーカー、当時はタイラン社のベストセラー機種に焦点を合わせて、その互換性を訴える製品が世に出るようになったのです。
そういったマスフローのサイズに対する共通認識的な、決して規格までは到達していないが、メーカー間の暗黙の了解的なものが90年代のMFCにはありました。
1/4”VCR(フェイスシール)タイプ継手の場合、面間寸法124mm(5SLM以下の場合)“というものです。

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この面間寸法に合わせたMFCを作る努力がマスフローメーカーのダウンサイジングの始まりとも言えます。
大方のメーカーがそれに倣った後、今度は5SLM以下にとどまらず10~20SLM、そして50SLMまでの流量レンジも面間124mmサイズにしたいという要求が生じました。
これはソレノイドタイプのアクチュエーターを用いるタイラン、ユニット等などのUSA系のマスフローメーカーは、そのアクチュエーターのリフト量の大きさで有利に対応を進ます。
対する国産のピエゾアクチュエーターを搭載したMFCは、そのリフト量の小ささと、流量センサーと層流素子(バイパス)の構造から124mmでの対応はなかなか難しかった筈です。

MFCのダウンサイジングは、流量制御バルブだけではなく、流量センサーと分流構造を構成する為のバイパスとの組み合わせである為、50SLMレベルまで5SLMの分流構造の応用で対応するのはなかなか難しいところがっあったのでしょう。

同じ構成のセンサーとバイパスの組み合わせで、センサーチューブ側の抵抗を増すことで分流比を操作するような工夫もなされました。
この種のダウンサイジングタイプは、センサー、バルブ部の圧力損失が大きくなったり、圧力条件、ガスの選択によりセンサーとバイパスの分流比が揺らいでしまう為に再現性にかけたりといった問題も多かったのですが、半導体製造装置向けで50SLMといった流量はパージ用窒素ラインの流量制御がほとんどであった事もあり、あまり大きく問題視されることもなかったとDecoは記憶しています。
 
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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