EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

FLEXI-FLOWCompact

真・MFC千夜一夜物語 第364話 ダウンサイジングこそ技術革新の証です その1

今回からはマスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC、MFMとMFCをマスフローと総称。) のダウンサイジングの歴史に関して解説していきましょう。
今回はあくまで流量レンジが20SLMより小さい気体用小流量レンジに限ります。
なぜならマスフローは数ml/minレベルから10,000m3/hを超える気体を対象としており、大流量レンジを守備範囲とするマスフローは、自ずとそれだけの流量を流せる配管径にサイズを左右されてしまうからです。
同じメーカーのマスフローでも小流量から大流量までそのサイズは大きく異なります。
ここに液体用を加えると更に複雑になってしまうので今回はオミットしましょう。
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出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

例えば上の写真はブロンコストのEL-FLOWと先日発表されたFLEXI-FLOW Compactの比較ですが、同じメーカーの気体用微小流量向けMFCでも、十数年でこんなにダウンサイジングできてしまったのです。
しかも、これだけのサイズ差があっても性能面では、流量レンジと圧力定格を除けば遜色は無いのですから驚きますね。

気体用小流量のマスフローに限定するとなると、その主戦場は半導体製造装置を始めとする真空装置、そして分析装置向けのマスフローとなり、奇しくもそこはマスフロー、特にMFCのメインマーケットとなります。
と、言う事は、マスフローのダウンサイジングそのものの流れを追う事で、マスフローメーカーの技術革新をある程度捉える事ができると思いませんか?
と、いう事で、次回はマスフローの標準サイズがどれだけで、ダウンサイジングでどこまで小さくなるのか?をお話ししましょう。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

【続々報】FLEXI-FLOW Compact “TCS-Technology” 

ブロンコスト(Bronkhorst HIGH-TEC.B.V.  日本法人はブロンコスト・ジャパン(株))の発表した新製品 FLEXI-FLOW Compact に関する続々報です。


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出展:ブロンコスト・ジャパン(株) 日本語訳:EZ-Japan

前回確認中だった流量センサー部の構造に関する資料が一部公開されています。

FLEXI-FLOW Compactに採用された流量センサーは、TCS(Trough Chip Sensor)Technology バイパスフローセンサーと呼称されています。
今までの巻線型とMEMS型を融合して、巻線型センサーの器差の原因であったニクロム線を巻いたセンサーから脱却しつつ、従来培ってきた分流構造でのブロンコストのバイパスに関わるノウハウを活かし、広いレンジで高い精度、繰り返し性を維持できるセンサー技術なのです。
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基本的に、このセンサーは2つの真っ直ぐな窒化ケイ素キャピラリーで構成され、それぞれの直径は100μm、壁の厚さは1μmです。上部の温度依存の金属抵抗器は、ヒーターおよび温度センサーとして機能します。

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出展:ブロンコスト・ジャパン(株)

流路にただMEMSセンサーを置くのではなく、今まで培ってきた巻線型センサーのセンサー部をまさにMEMSで再現する事で、今まで培ってきた分流(バイパス)技術を利用した多彩な流量・圧力レンジでへの拡張性をうかがわせるブロンコストらしいマスフローセンサーだと思います。

まさに温故知新、Decoの好きな言葉です。

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠

真・MFC千夜一夜物語 第363話 流量と圧力制御は同時にはできませんよ! その4

圧力センサーを搭載した制御モジュールとして形は似ていますが、そもそも圧力式マスフローコントローラー(MFC:Mass Flow Controller)やPI-MFCとAPC (Automatic Pressure Controller)は違うものですよというお話です。
APCと呼称されている機器は、MFCの機器構成を利用してセンサーを圧力センサーの置き換えたものがほとんどです。
「圧力センサーからの圧力信号と設定した圧力値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、圧力を調整するAPC」と、「流量センサーからの流量信号と設定した流量値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、流量を調整するMFC」この2種類の制御システムを一緒に使うとどうなるか?以前も解説しましたが、下の図を見てください。
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APCとMFCはケンカが絶えないとはどういう意味でしょうか?
これはどちらも流量制御バルブを使って流量を制御しようとしているから起きるのです。
流量を制御した結果として圧力を制御するAPCは、制御バルブの構成がMFCと同じなので、Kv値の異なるMFCを2台直列につないで、更に異なる流量値に制御しようとしているのとあまり変わらない結果になってしまうのです。そうなると最悪はお互いが流量の増減を繰り返して、ハンチングを起こすような現象が続いてしまうことになります。

MFCとAPCを直列につないで流量と圧力同時制御!というのは、上手くいかない事が多いのですが、でもその両方を取り込みたいという要望がある場合はどうすればいいのでしょうか?
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Decoは回答として「MFCかAPC、どちらかを制御してどちらかがモニターに徹すればいい。」と、ご助言しています。
「APCで圧力制御をしながら、流量値をマスフローメーター(MFM)でモニターする。
もしくはMFCで流量制御をしながら、圧力値を圧力センサー(PT)でモニターする。
このどちらかでいかがですか?」とお話ししています。

例えばチャンバーに送るガスを流量と圧力で制御したいという御希望をお聞きすることがあります。
チャンバーをある一定の圧力に到達させる際に、導入したガス量もプロットしたいという御要望に対しては、APCで圧力制御させて、MFMで流量測定するような組み合わせになります。

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出展:ブロンコスト・ジャパン(株)
ブロンコストの新製品“FLEXI-FLOW Compact”はファームウエアの変更で、“PTを積んだMFC”にも“MFMを積んだAPC”にもなるので、こういった用途を1台でこなせて最適かと思っています。
 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


FLEXI-FLOW Compact “MASS FLOW CONTROL Redefined” 

ブロンコスト(Bronkhorst HIGH-TEC.B.V.  日本法人はブロンコスト・ジャパン(株))の発表した新製品 FLEXI-FLOW Compact に関する続報です。

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FLEXI-FLOW Compact 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

ブロンコストはこの新製品を “MASS FLOW CONTROL Redefined” と呼んでいます。
Redefined は日本語では”再定義”を意味します。
つまり「質量流量制御の再定義」を行う製品だという事でしょうか?
公開されている情報だけでも、以下の特長があります。

・流量センサー、上下流の圧力センサー、温度センサーを搭載し、マルチパラメーターを実現!

・ブロンコストのどの製品よりも高速応答、セトリングタイム150mSec.を達成!

・22種類のガスデーターがメモリーしており、単一もしくはそれらの混合ガスにガス種を切り替え可能なマルチガス対応!

・EL-FLOW Prestige FG-201CVP 並みの温度・圧力によるCF補正機能搭載!

・EL-FLOW Prestige並みの高精度 ±0.5% RD+ ±0.1% FSを実現!

・ファームウエアの切り替えでAPC(Automatic Pressure Controller)としての運用も可能!


FLEXI-FLOW Compactのグレード構成は大きく分けて3種です。

拡張版(Preconfigured Advanced:PA)
4つのレンジ(Full Scale:FS = 0.5/2/5/20 ln/min、窒素ベース)のMFC、ターンダウン1:500、流量+圧力+温度測定

・標準版(Preconfigured Standard:PS) 
4つのレンジ(Full Scale:FS = 0.5/2/5/20 ln/min、窒素ベース)のMFC、ターンダウン1:50、流量+温度測定

・受注生産版(Built-to-Order:BtO)
 MFCとMFM、最小0.5 ln/minから最大20 ln/min(窒素ベース)の間から任意にレンジを選択、ターンダウン1:1000;マルチチャネル版(最大8チャネル)

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マルチチャネル版 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

Decoのお気に入りは、FLEXI-FLOW Compactのカラーリングは鮮やかなオレンジな事です。
オレンジと言えばオランダを表す色ですね!
ここでオレンジという色を選択してきたブロンコストの本気ぶりにDecoのテンションも一気に上がっています。
詳細情報は入手次第、追加告知していきますね!お楽しみに!

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠


EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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