EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

IGS

真・MFC千夜一夜物語 第367話 ダウンサイジングこそ技術革新の証です その4

 マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC、MFMとMFCをマスフローと総称。) のダウンサイジングの歴史に関して解説していきましょう。

106mmコンパクトMFCという存在は、その後のIGS(Integrated Gas System)の時代に大きな影響を及ぼします。
300mmウエハー対応半導体製造装置のガス供給系では、IGS対応のMFCが採用されました。 
IGS対応MFCでは、従来の面間寸法に似た規格としてポート間寸法(ピッチ)が存在します。
IGS対応機器はダウンポートと言って、機器の底面に流体の入口出口があります。
このポート間の距離が92mmと79.8mmという異なるピッチの二つの規格が存在してしまったのです。
簡単に言えば、スタンダードサイズ(面間124mm)のMFCをベースにしたものが92mm、コンパクトMFC(106mm)をベースにしたのが79.8mmになったのです。
そして、スタンダードサイズが米国の装置メーカー、コンパクトサイズが日本という海を越えた二つの規格として存在してしまったのでした。

IGS対応MFCにはもう一つの規格があります。
MFCの奥行方向の寸法です。
これは本来IGSが1.5インチもしくは1.125インチスクエアな正方形を底面形状とした機器を組み合わせるモジュールだからです。
そもそもMFCだけはその正方形サイズに収まらない為、横長な長方形の底面形状となっています。
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IGSでは更にもう一つのシール形状の規格があります。
WシールとかCシールといった名称のものです。
このシール形状が異なれば、ピッチや奥行き寸法が合っていても接続することができないので要注意です。
WシールとかCシールというシールの規格に応じてMFCの底面接続部の加工形状そのものが異なるので、シール材だけを変えたら接続できる訳ではないので注意して下さいね!

IGS対応MFCを技術面で考察すると、面間寸法、そして奥行方向での寸法を小型化するべく努力がされているのがわかります。
特に79.8mmピッチは106mmMFCでの日本のMFCメーカーの苦労が活かされています。
また、1.125インチの奥行き寸法に合ったMFCを作り上げる為に、米国MFCメーカーもソレノイドアクチュエーターやバルブの構造を大きく見直す機会となったのが見て取れます。
何よりDecoが進化と捉えているのは、スタンダードとコンパクトだけでなく、複数存在するIGSやシール方式に合わせてMFCの入口、出口側フランジをモジュール化する事で、オーダーに応じたMFCを組み上げる事を可能にするという、いわば“作りやすいMFC”が現れたことです。
堀場エステック(株)Z500シリーズブルックスGF100シリーズは大量生産を踏まえた上でフレキシブルに仕様対応も可能で、PI(Pressure Insensitive)等の新技術への拡張性もある現世代MFCの傑作シリーズと言えるでしょう。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


真・MFC千夜一夜物語 第315話 MFCに互換性はあるの?その1

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM)のメーカー間での互換性に関する質問をよくいただきます。

この回答は「あるようでない・・・」と、いつもDecoはお返ししています。

 

あると言えばあるのです。例えば半導体製造装置だと、6-8インチウエハー時代は、VCRタイプ継手を使った2種類の面間、300mmウエハー対応装置ではIGS(Integrated Gas System)仕様の2種という形に、どのメーカーのMFCも大方作られています。

 

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ですが、VCRタイプ継手で2種類の124mm106mmという面間が存在していたというのも、この装置に搭載されたMFCが老朽化して交換の必要があった際に、124mmタイプで106mm用の配管には取付できませんし、その逆も106mmタイプを継手配管で延長するには差が18mmしかないので難しくなります。

(そういうこともありこの“少しだけコンパクトなMFC”はあまり流行りませんでした・・・)


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IGSタイプも、1.5インチ1.125インチというMFCで言うと奥行方向の寸法差がありますし、取り付ける際のシール方式もWシールCシールがあります。(その昔はもっとありました、CSH1G・・・)

なのでやはりそこをちゃんと確認して交換用のMFCを手配しないといけないわけです。

 

これは半導体製造装置の世界だけの事で、その他の業界向けMFCでは、また異なってきます。

ま、ブロンコストさんのW:30D:20H:40mmという小さなMFCまで世の中にはあるのですから、仕方ないのですけどね。

 

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【出典:ブロンコスト・ジャパン()

互換性があるようでない=1つの配管規格に統一しきれていないのがMFCの泣き所です。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

 

面間寸法ってなんですか?

久しぶりのMFC豆知識のコーナーです。

今使っているマスフローコントローラー(MFC)が古くなってきたし、新しいMFCへ置き換えを検討しえて、MFCメーカーさんに見積もらおうとしたら、「面間寸法がわかりませんか?」と言われてしまったことありませんか?

面間寸法って、どこの寸法だろう?とお悩みの貴兄へ・・・ずばり!ここの事です。
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MFCの入口側継手の再突出部と出口側のそれとの間の距離の事なのです。

今のMFCは、1/4”VCR(フェイスシール)タイプならば面間寸法は124mmでどのメーカーもほぼ統一されてきたかな?と思うのですが、古いMFCですとそうもいかないのです。
例えば、少し前までコンパクトサイズという1/4”VCRタイプならば面間寸法は106mmというちょっと小さいサイズのMFCが国産では見られました。
更に124mmよりも大きなサイズも過去には色々とメーカーごとにありました。

それと面間寸法程知られていませんが、「芯高」という寸法もあります。

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芯高とは読んで字の通り、MFC底面から継手の中心点(芯)までの高さを言います。
これが1mmでも違うとVCRでは絶対接続できませんし、融通が利きそうなSWL(=LOK継手 食い込み継手 コンプレッション継手)でも厳しいです。
ここでいやらしい話なのですが、昔の装置では、この芯高が入口と出口で違うMFCが使われていたことがあったのでした。
もしこのタイプの置換となるとスーパーハードモード決定ですね。
諦めて配管を再施工していただく事が多かったですね。
さすがにもうないでしょうが・・・

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最近はIGS(Integrated Gas System)対応のMFCが増えました。
継手が無くなった筈のIGS用ですが、実は面間寸法に似た規格があります。
ポート間寸法(ピッチ)です。

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IGS対応機器はダウンポートと言って、機器の底面に入口出口があります。
下図を見て頂ければお判りいただけると思いますが、今までの継手ではサイドにあったポートが、底面にあるのです。
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ここでも92mm79.8mmというピッチの異なる規格がありますし、更にMFCでいう奥行方向も1.5”インチ1.125”インチという規格があります。
(IGSの他の機器はMFCと異なり、スクエアな底面デザインなので、1.5インチ角、1.125インチ角になrってます。MFCだけ仲間外れですね。)
えーっとさらに最近では10mmという規格もあります。
更にIGSでVCRやSWLに匹敵する部分としてシール形状、WシールとかCシールというものがあり、同じ92mmピッチ、1.125インチIGSでもここが共通でなければ接続できません。

やれやれ、IGSになってもやはり色々と覚えることは多いものなのです。

【MFC豆知識】 by Deco EZ-Japan




EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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