今週は2回更新です。
所謂年末進行というか、セミコン進行というやつです。
もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2017年12号(11/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第40回は、“液体流量センサー”に関しての解説記事です。
つまり1冊で3度美味しい?状態なのです。
さて、マスフロー(MFC&MFMの総称)最大のトラブルは、センサーチューブとバイパス(層流素子)の分流比が何らかの原因で初期値より変化することにより発生することである、というお話です。
マスフローは一見問題ないように見えるのに、いつの間にか設定流量と制御流量がずれてしまっているというのは、恐ろしい現象ですね。
これは巻線型流量センサーを採用しているマスフローの大半が、流体全てを測定するのではなく、分流したある一部の流量を測定する分流構造をとっているから起きる現象で、全量測定タイプでは起きない現象なのです。(当然全量測定方式でも、異物付着の影響がゼロというわけではないので、念のため・・・)
例えばセンサーに異物が詰まった場合、これがセンサーチューブを閉塞させるようなものでしたら、マスフローの出力を見ていれば異常がわかります。
完全にセンサーに流量が流れていなければ、当然センサーの出力は0に近い値になります。
ところが分流構造故にバイパス側には流れているわけで、「流量表示は0なのに、実は大量にガスが流れていた!」という問題が生じます。
MFMの場合は、「センサーがダメになってしまって測定できなくなった・・・」で済みますが、MFCでは大変なことになります。
このブログで何回もご説明してきましたが、センサーの流量信号(PV値)が0、設定信号(SV値)がなにがしかの値を入力されている場合、PV<SVとなる訳ですから、MFCの制御系は比較→判断→制御の流れに沿って、バルブ電圧信号(MV値)を更に流量が流れる方向に制御してしまいます。
でも、センサーは詰まっていて、実際はどれだけ流量制御バルブを開いても、流量は流れないので、流量制御バルブは全開状態を保持することになってしまうのですね?
故にそのバルブのKv値(Cv値)から割り出される最大流量がひたすら流れ続けるという事態になるのです。
怖いですね!
でもこのトラブルは、まだ目に見えます。
PVとSVが不一致な状態はそれぞれの信号をモニターすればわかりますから、それをプロセスのタイミングに応じて上位制御系で判断してインターロックをかけるように保険を掛けることができるからです。
やはり怖いのはPV=SVなのに、実際の制御流量はずれている、という現象ですよね?
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan