EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

SUS316L

真・MFC千夜一夜物語 第314話 MFCのボディは何でできているの?その6

電解研磨

一般にステンレスの電解研磨は、被電解物をプラス、相対電極をマイナスとして硫燐酸(硫酸と燐酸の混酸)の液中で直流電流を流すことにより行なわれる陽極酸化プロセスです。

200525_01

 

被電解物の表面付近に生成される皮膜の電気抵抗が大きいため凸部が凹部に比べ優先的に研磨され平滑になる傾向があります。


200525_02


その為、機械的に仕上げられた表面とは異なり微小な凹凸はないが全体的にゆるやかな波打った表面に仕上がり、初期は表面粗度では大きなアドバンテージはなかったのはあまり知られていない事実です。

その後、技術が進み、Ra0.1μm以下を実現できるようになっています。


ステンレスの中にはアルミナやシリカといった非金属介在物が存在してます。

電解研磨するとこうした異物の周辺で選択的に研磨が進行して穴が掘れる現象が発生してしまうそうです。

故に電解研磨に適した材料=非金属介在物の少いVIMVAR材ということになるのですね。(310参照ください。)

 

電解研磨処理(EP)の主用途としては、配管や小型部品です。

それに対して、複合電解研磨という研磨材よる擦過作用と中性塩電解溶液を用いて微弱電流による電解作用とを交互に行なう技術もあります。
凸部の不働態膜を機械的な擦過作用で削る行程と、むき出しとなった金属表面を電解により溶解することで平滑にするという工程を連続して行なうことで、研磨速度が単独で行なう電解研磨や機械研磨に比べ飛躍的に早くなるメリットを活かして大型部品によく使用されています。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

 

 

 

真・MFC千夜一夜物語 第310話 MFCのボディは何でできているの?その2

【お知らせ】
今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM)のボディ材質としてよく用いられるSUS316Lですが、SUS316”L”と無印のSUS316の違いはご存じでしょうか?

SUS316LのLは”Low Carbon”のことです。
字のごとくSUS316からC(炭素)の含有量を下げ、Ni(ニッケル)を増やしたバージョンです。

200414_01
出典:JIS G 4303 ステンレス鋼棒

オーステナイト系ステンレス鋼は750℃付近(600~900℃)に加熱されると、CとCr(クロム)が結合してCr炭化物が結晶粒界に析出し,結晶粒界が選択的に腐食されやすくなるそうです。
オーステナイト系は、ある程度Crが内在していることによって、高い耐食性が維持されています。
しかし、溶接時にCr炭化物が析出すると,その周辺では逆にCrの濃度が低下し,局部的に耐食性が低い領域ができてしまうのだそうです。
だからCの含有量を低減させることの効果が大きいのです。
また、C量を低く抑え,Ni量を少し多くすることにより,焼鈍状態の硬度を低くし、加工硬化性が良くする効果もあります。

SUS316L VIMVAR材

通常のSUS316Lに対して、材料に含まれる不純物成分をさらに極限まで低下させた高品位な材料のことです。
VIMVAR材、真空二重溶解(ダブルメルト)材といった呼称で呼ばれます。
配管施工でSUS316L配管を曲げ加工したりすると、表面付近に存在しているアルミナ等の非金属介在物が、曲がることにより割れてパーテ ィクルとなってしまうことがあります。
一度の曲げで数千のパーティクルが生まれてしまうこともあるのです。
そのため非金属介在物の少ないVIMVAR材が重用されるのです。

”SEMI Standard F20のUHPグレード” という表現で材料を指定されたら、これの事です。

【参考文献】SEMI Standard F20 - 高純度および超高純度の半導体製造アプリケーションで使用される汎用コンポーネント用の316Lステンレス鋼の棒鋼,鍛造品,押出成形品,鋼板,鋼管の仕様

ちなみにSUS316Lは、半導体プロセス用配管・機器に関してはマスト材料ですが、SUS自体がそうである以上に粘りが強く、加工治具の消耗が早いので、決して加工性は良好ではありません。
工具の摩耗が早い=加工が高くつくことで、当初は有名でした。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第309話 MFCのボディは何でできているの?その1

【お知らせ】
今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM)を手に取って持ったことがある方は、意外に重い事に驚かれたことがありませんか?
通常の1SLMクラスのMFCでも幅80mm×奥行30mm×高さ120mmくらいで優に1㎏は越えます。
大流量向けのMFMですと、配管径が太くなりますので、さらに重くなります。
ウエハータイプ(写真右)のようなフランジ部品が付いていないタイプはまだよいのですが、フランジタイプ(写真左)だと持ち上げるのに、相当気合を入れないと、腰を壊してしまいます。
200406_01
【出展:ブロンコスト・ジャパン(株)】

なぜそんなに重くなるのか?それはマスフロー(MFCとMFMの総称)のボディ=接ガス部分を構成する材質が、ステンレスだからです。
なかにはアルミで軽量化したものもありますが、ほとんどがステンレスで構成されているからです。
アルミの比重が2.7に対して、鉄が7.9、ステンレスの比重は0.793~0.8で鉄に近いです。

・SUS316Lとは
今現在、マスフローで使用されるステンレスは、SUS316Lが多いです。
半導体先端プロセスでは、ただの316Lではなく、VIMVAR材という特殊な手法で作られるものもあります。
その他にはSUS304等もありましたが、現在では少なくなってきたと思います。

皆さんのステンレスに対するイメージに “錆びない” というのがあるかと思います。
これは正解で、ステンレスは非常に腐食に強い金属です。
ステンレスは、耐食性を向上させる目的で、鉄を主成分としてCrやNiを含有させた合金鋼です。(Cr含有量が10.5%以上と多い。)
200406_02

その優れた耐食性は、表面に形成される“不動態皮膜”のお陰です。
この皮膜は、10~30Åの酸化膜であり、破壊されてもすぐに復活します。
そのキーとなるのが不導体皮膜を形成しやすいCr, Mo, Niです。
特にSUS304には含まれていないMoは、不動態皮膜の局部補修力があるそうです。

そしてSUS316Lの“L”がここで非常に重要になってきます。
このLの意味するところは?次回お話ししましょう。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan




EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
QRコード
QRコード
Decoへのメッセージ

名前
メール
本文
記事検索
タグクラウド
タグ絞り込み検索
  • ライブドアブログ