EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

真・MFC千夜一夜物語 第529夜 APC vs MFC その1

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
本記事ではMFCの派生分野であるAutomatic Pressure Controller(以下APC)に関しての解説を再び行っていきます。

APCとは日本語で表記すると“自動圧力制御器”ですが、この言葉から受ける機能面の理解にかなり誤りがあるとDecoは感じています。(本文で解説するのはMFCをベースに構成された流量制御バルブで圧力制御を行う狭義のAPCに限定します。) 
「そもそもMFCという名称で知られる流量制御機器の役割を正確に表現するとAutomatic Flow Controller(AFC)である」という話は講習会などでDecoがよくするところです。
MFCは流量センサー、PIDコントローラー、流量制御バルブを一つのパッケージとした機器であり、流量設定信号(S.V.)とセンサーからの流量信号(P.V).が一致するように流量制御バルブへ制御信号(M.V.)を可変させる仕組みしたね?
この事を正確に表す言葉としてAFCという言葉の方がより本質に近いとDecoは考えています。
そしてこの解説をAPCに当てはめると「圧力センサー、PIDコントローラー、流量制御バルブを一つのパッケージとした機器であり、圧力設定信号(SV値)とセンサーからの圧力信号(PV)が一致するように制御バルブへ制御信号(MV値)を可変させる仕組み」であると言えます。
 
220411_02
出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

そして今やその両方の機能を備えたブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)FLEXI-FLOW Compactのような製品も世の中に出現するようになったことからも、MFCの未来はAFCとしての流量制御機能とAPCとしての圧力制御機能をプロセスに応じて使い分ける方向へと向かっているようにDecoには思えるのです。
次回からはまずMFCとAPCの関係を改めて解説していきましょう。

【夏季休暇のお知らせ】
EZ-Japan及び(一社)セーフテクノロジーは8/8土曜から8/16日曜まで夏季休暇を頂きます。本ブログも8/11火曜の更新はお休みして、再開は8/18火曜からとさせていただきます。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy


真・MFC千夜一夜物語 第6夜 MFCを巡る質量と体積の三角関係 Part4

第6話がロストしていたようです。
おそらくブログ移転等で問題が生じていたのかもしれません。
ご指摘いただきまして、ありがとうございました。  
 (一社)セーフテクノロジー&EZ-Japan Deco



前回いきなり修羅場となったMFC君ですが、愛憎の行方はいかに?

MFC君の言い訳を聞いてみましょう。
被告人、MFC君 前へ!

 

検察”あなたが質量流量単位ではなく、体積流量単位を使う理由は?”

MFC「だって流量を10g/minって書かれてもぴんとこないと言われて・・・」

 

検察”あなたの使う体積流量単位SCCMのスタンダード=0である理由は?”

MFC「最初からそうだったのです・・・それが当たり前だと思っていました・・・」

 

歯切れの悪い回答ですね。

では、弁護人Decoがご説明しましょう。

 

まず、体積流量単位を使用している理由ですが、これは敢えて慣習を重んじていると言う事になります。

確かにcc、Lという単位の方が「流れ」の単位として定着しており、使う方に馴染みがあります。

もし何グラムの窒素を流して・・・と言たら、どうも頭の中でピンとこないものです。

使用される側=ユーザーが慣習上使いやすい単位で表しているという事ですね。

 

次にスタンダード温度ですが、SCCMというSI単位系にないこの流量単位はある意味、業界各社の個々の判断にゆだねられて運用されて来ました。
その為、ある業界ではスタンダード=0
で定義し、その他の業界では20で定義していたりします。
便宜上使われてきた単位で、公的な基準として管理されていないが故に、各々にとっての「標準」状態を定義可能になってしまうのです。

260728_02


だから、0でも20でもないスタンダードも実は存在しています。
現在ではスタンダード=0
とは定義しているメーカーが多いのは事実です。
ですが、MFCを選定される際は、このポイントを留意いただいて、各社のスタンダードを確認していただいた方がいいと思います。
なぜならスタンダードが0
20の差はそのまま現実に測定、制御される流量の差になるからです。(273+20)/(273+0)=なんと7%強の差となれば、カタログに載っている「精度」の保証値なんか吹っ飛んでしまう差になりますから・・・

 

しかし、MFC君はどうも基本のところから「慣例で」「前からやっていたから」的な言い訳が出てきますね。
外見の堅い直方体なルックスとは異なり、歯切れの悪い言い訳から中味は優柔不断なイメージです。

 

「やはりMFCは完全な「質量流量」を測定している訳でも無く、そもそも「計測器」じゃないから、運用がフレキシブル、悪く言えば万事適当なところがあるのです。」と、爆弾発言して、次回へ続きます。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

 

真・MFC千夜一夜物語 第528夜 MFM vs MFC その6

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今回はMFM vs MFCと銘打って、直接対決といきましょう。

MFC対MFM+比例制御弁

MFCの自動制御では流量制御が難しい条件で、手動制御に戻してMFM+ニードルバルブを用いるパターンを紹介しましたが、量産を目指したライン展開では今更手動制御は難しいとなりますよね?
そこで流量調整弁にモーターや磁力、空圧を動力として用いた自動調整弁を検討するのも手です。
 260728_01

比例制御弁 出典:タカノ株式会社

写真の比例制御弁はソレノイド等のアクチュエーターで開度を調整するもので、基本的にMFCに搭載されているものと同じです。
これとMFMと調整計で自動制御を行うのです。
「それでは結局MFCに戻ることになりませんか?」という声が聞こえてきそうですが、一体型パッケージであるMFCをわざわざMFMと比例制御弁に分解することで、種々の難しい条件に対応する流量制御が可能になるのです。
 
第10図
例えば、フルスケール付近の流量から2%程度の低設定流量まで、広いレンジで流量制御を行いたい場合は、図のようなフローを組むことで対応が可能になります。
自動調整弁のバルブ定数(Kv値もしくはCv値)を大小異なる二つの弁を用意しておいて、切り替えるやり方です。
切り替えのタイミングに応じて下流にガスをチャンバーから逃がすベントラインが必要になることもありますが、各々の自動調整弁が得意とする流量域で活躍させることができます。

この応用で例えば水素のようなMFCの天敵であるガスの流量制御も可能になるのです。
熱式流量センサーを搭載したMFMにとって水素のコンバージョンファクター(以下CF)は窒素と大きく変わらないのに、軽くて流れやすい性質上、バルブ定数は1/10くらい小さくしないといけない。
こういった状況でMFCを使って1台で複数のガスに対応するマルチガス・マルチレンジ対応を行うには、流量センサー側は二つのガスのCFが近くて問題ないが、流量制御バルブ側はバルブ定数の設定が共用しにくくて、どちらかの制御をあきらめないといけなかったのです。
そこを図のようなフローとすることで、水素時は小さなバルブ定数の自動制御弁、窒素では大きな自動制御弁を切り替えてやればよくなります。

また、水素単独の場合も、大流量になるとMFCの流量センサーと層流素子(バイパス)との組み合わせに対応する流量制御バルブ側のバルブ定数が水素には大きすぎる設定しか選べない製品があります。
こういった製品はオーバーシュートやハンチングを起こしやすく、水素のような危険なガスを大流量制御する上で好ましくないのです。
こういった場合、MFMと自動調整弁の組み合わせで、自動弁のバルブ定数をその流量の水素制御に適したものに絞ることで対応するとよいのでした。

今回はMFM対MFCと銘打って対決と煽りながら、その実はMFCの自動制御で至らないところをMFMと流量調整弁を使った手動、自動制御で補う方法を紹介させてもらいました。
手動制御のニードルバルブはアナログテイストではあるが、そもそもは圧力損失を可変して流量を作り出している点ではMFCの流量制御バルブと同じです。
自動制御弁に至っては、MFCで流量制御に採用しているのとほぼ同じ構造です。
これらを研究、量産用途でMFMとセットで上手く使うことでMFCの自動制御の弱点をカバーすることができます。
確かにMFCは便利な存在ですが、決して万能ではないのです。
種々の厳しい条件では上手く流量制御できないこともあります。
今回の解説はそういった場合の解の一つとして理解してもらえればと思います。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy


真・MFC千夜一夜物語 第527夜 MFM vs MFC その5

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今回はMFM vs MFCと銘打って、直接対決といきましょう。

第8図


前述の通り決して万能ではない自動制御系故にMFCは応答上のオーバーシュート、外乱(一次圧変動)影響を受けた制御不良(図参照)、そしてフルスケールに対する最小制御流量のターンダウンレシオが1:50、よくても1:100程度であり、それ以下の小流量域では制御をあきらめなくてはならないという問題です。
特にこの最小流量制御時の安定性、応答性に関しては、ユーザーから稀にクレームとなることがあります。
「カタログでは1:50のターンダウンレシオつまり2-100%の流量を制御できるとあるが、実際2%設定流量で使ってみるとふらついているではないか!応答もなかなか安定しないではないか!」というものです。
特に分子量の大きなガスや逆に水素のように極端に軽いガスでこの現象は起きます。
デジタルMFCがデビューしてソフトウエアでは応答時定数を複数メモリーして、最適なものを使えるようになったとしても、流量制御バルブというハードウエアはある流量レンジに対して一つであり、どうしてもフルスケールの2%といった最小制御流量域での動作は、フルスケール近辺とは異なってくるのです。
そして、MFCのバルブは閉止バルブではないので、異物の嚙みこみ等での出流れが生じる可能性も考慮しないといけません。
第9図

図にあるように、出流れは制御最小流量を押し上げる方向に働きます。
本来半導体製造装置等では使用される流量を50%フルスケールあたりで想定して、MFCの仕様を決めているので、ここまで広い範囲で使用するプロセスは一部になるのですが、開発研究用の装置では、こういったMFCにとっては少し辛い条件で使用したいという要望が結構あるのです。
高圧条件や高温条件というハードな条件がそれに加わってくることもあり、なかなかに過酷だったりするのです。

こういった場合DecoはMFMとニードルバルブのような手動流量調整弁でのトライを提案したりしています。
手動調整弁とて制御範囲には限界があります。
だが、ここで人間の手でバルブ開度を調整するという手動制御の良さが生きてくるのです。
きわどいバルブ開度の微調整を熟練した人間が行うことで最適な開度に設定するというアナログな世界ですね。
ですが、これはあくまで何回か繰り返し性を確保できれば良いという実験レベルのことであって、展開される量産ラインで同じことをするわけにはいきません。
その場合、2台のMFCでラインを組むという方法もあるのですが・・・
 
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy

真・MFC千夜一夜物語 第526夜 MFM vs MFC その4

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今回はMFM vs MFCと銘打って、直接対決といきましょう。

MFCでのP制御における問題点は、PVがSVに近づくと、MVの伸びが鈍ってしまうことでした。
これはSVに近い状態でPVが安定はするが、永遠に「PV=SV値」にはならないということです。
このP制御における、PVとSVの差を偏差と呼びます。
P制御ではSVに近づけることまではできますが、SVとの偏差を0にできないのが問題だと言い換える事ができるのです。

この偏差をなくすために考えられたのが、積分動作(I動作)です。
I動作は偏差を時間的に蓄積し、蓄積量がある大きさになった所で、MVの操作量を加減して偏差を解消させるという動作をさせます。
このようにして、P動作にI動作を加えた制御をPI制御(比例・積分制御)と言い、一般的なMFCはこのPI動作で制御されている、と言っていいのでしょう。
 
221125_01

PI制御は偏差を蓄積する分、PVがSVに合致するのに時間が必要になります。
MFCのように周囲の配管機器とガス供給系を形成している場合、それは色々と難しい問題を起こします。
MFC1次側で複数ラインを1つの調圧器(レギュレーター)で賄う際に、各ラインのバルブ切り替えによる消費ライン数の増加に伴う一時的な払い出し量不足や、二次側の真空チャンバー排気量のゆらぎによる二次圧変動のような突発的に強い外乱が発生した場合です。
PI制御では偏差を時間とともに蓄積し、その蓄積に応じて修正するため、元の値に戻すために時間が掛かってしまい、それが問題視されることになりました。

 それに対する改善方法が最後に紹介するPID制御(比例・積分・微分制御)です。
しかしこのPID制御すらも万全ではないのです。
むしろ図中の微分動作にあるようなオーバーシュートを伴う急峻な波形を形成してしまうことで、二次側が真空チャンバーならば、その真空度を一時的に悪化させてしまったり、チャンバー内でパーティクルの巻き上げを起こす可能性があります。
更にそれらを防ぐ為に装置のインターロック(PVをモニターし、SVの一定許容範囲を超えた際にアラームを立て、最悪ガス供給を断つ方向へ制御する。)を作動させてしまう要件になりかねないのです。
MFCはPID制御されていると表記されがちですが、実際の動作ではPI制御が主です。
そしてMFCの立ち上がり応答に関しては、PIDを用いるパターンは少ないと言えます。
その理由としてマスフローの主力流量センサーである巻線型の信号が決して速くはない事が挙げられます。
MFCでは流体制御システムとしての高速応答性能を得るためには、センサー出力波形をそのまま受け取るのではなく微分成分を合成したりするのですが、これでは前述のオーバーシュートが絶えない為に、制御開始時はSVの80%程度を目標値としてMVを自動的に開けていくような手法が織り込まれているものもありますし、それを段階的に可変させる制御のものもあります。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy


EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
QRコード
QRコード
Decoへのメッセージ

名前
メール
本文
記事検索
タグクラウド
タグ絞り込み検索
  • ライブドアブログ