もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌の「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」という連載も2016年5月号(4/25発売)で連載23回を迎えさせて頂きました。
今回はMFC(マスフローコントローラー)の周辺機器を用いたアプリケーションに関する解説記事となっております。
本ブログと併せて、宜しくお願い致します。
さて、今回も圧力式MFC、Alicat社のラミナーフロー式(層流式)マスフローを御紹介しましょう。
同社の製品ラインアップで”Whisper“命名されたシリーズは、驚くべき低圧力損失仕様を実現しています。
MFM(マスフローメーター)仕様の標準グレード製品が20SLMまでの流量計測に必要な最低差圧が6.9kPa(1PSI)なのに対して、Whisper は5SLMまでなら0.483 kPa(0.07 PSI)、20SLMで1.724 kPa (0.25 PSI)という超低差圧スペックなのです!
大流量500SLMで比較すると、標準シリーズが圧損37.92 kPa(5.5 PSI) に対して、2.689kPa(0.39PSI) というスペックです。
巻線型のMFMでは、大流量になるほど層流素子(バイパス)との分流構造をとる関係上、ここまでの低圧力損失仕様は対応出来ません。
CMOSチップ(MEMS)型でも、大流量対応に分流素子を使用するものは巻線式よりも分流比が小さいので条件は良いにせよ、やはり難しいでしょうね。
更にこのwhisperシリーズは、MFCでも低圧力損失仕様が選択できるのです。
下図にあるように100SLMで0.2996PSI つまり2kPaという圧力損失で流量制御が可能です。
巻線型では100kPa近い圧損が必要なものもあり、特殊仕様で低差圧仕様にしてもなお数十倍の圧損が必要かと思います。
大流量を低圧で送り込みたいような燃焼ガス制御プロセスには非常に魅力的にではないでしょうか?
3つ目の特徴はマルチガス対応です。
熱式は定圧比熱、層流式は粘性、どちらも流体の物性を流量式に組み込んでいる性格上、どんな流体でもそのまま流量測定できるわけではありません。
特に流体がUNKNOWNな場合はお手上げです。
そういった特性は似ている両者ですが、マルチガス対応(複数のガス種への切り替え対応)に関しては、最新の熱式マルチガスマルチレンジMFCに対してAlicatも、なかなか使い勝手の良い製品となっています。
Alicatのラミナーフロー方式マスフローは、流体の物性(粘度、密度)データを製品の本体に98種分(ガス単体及び混合ガスデータ)内蔵しています。必要に応じて混合するガスの数と混合比率をユーザーで任意に設定して、仕様変更することが可能です。
混合比率と混合ガス数はある程度自由に設定が可能で、それを本体に20種分ユーザー仕様としてプリセットできるマルチガス機能は、研究用途では非常に好まれるのではないでしょうか?
*本記事作成に当たりAlicat社日本総代理店 日本スターテクノ(株)
さんにお世話になりました。ありがとうございます。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan
今回はMFC(マスフローコントローラー)の周辺機器を用いたアプリケーションに関する解説記事となっております。
本ブログと併せて、宜しくお願い致します。
さて、今回も圧力式MFC、Alicat社のラミナーフロー式(層流式)マスフローを御紹介しましょう。
同社の製品ラインアップで”Whisper“命名されたシリーズは、驚くべき低圧力損失仕様を実現しています。
MFM(マスフローメーター)仕様の標準グレード製品が20SLMまでの流量計測に必要な最低差圧が6.9kPa(1PSI)なのに対して、Whisper は5SLMまでなら0.483 kPa(0.07 PSI)、20SLMで1.724 kPa (0.25 PSI)という超低差圧スペックなのです!
大流量500SLMで比較すると、標準シリーズが圧損37.92 kPa(5.5 PSI) に対して、2.689kPa(0.39PSI) というスペックです。
巻線型のMFMでは、大流量になるほど層流素子(バイパス)との分流構造をとる関係上、ここまでの低圧力損失仕様は対応出来ません。
CMOSチップ(MEMS)型でも、大流量対応に分流素子を使用するものは巻線式よりも分流比が小さいので条件は良いにせよ、やはり難しいでしょうね。
更にこのwhisperシリーズは、MFCでも低圧力損失仕様が選択できるのです。
下図にあるように100SLMで0.2996PSI つまり2kPaという圧力損失で流量制御が可能です。
巻線型では100kPa近い圧損が必要なものもあり、特殊仕様で低差圧仕様にしてもなお数十倍の圧損が必要かと思います。
大流量を低圧で送り込みたいような燃焼ガス制御プロセスには非常に魅力的にではないでしょうか?
3つ目の特徴はマルチガス対応です。
熱式は定圧比熱、層流式は粘性、どちらも流体の物性を流量式に組み込んでいる性格上、どんな流体でもそのまま流量測定できるわけではありません。
特に流体がUNKNOWNな場合はお手上げです。
そういった特性は似ている両者ですが、マルチガス対応(複数のガス種への切り替え対応)に関しては、最新の熱式マルチガスマルチレンジMFCに対してAlicatも、なかなか使い勝手の良い製品となっています。
Alicatのラミナーフロー方式マスフローは、流体の物性(粘度、密度)データを製品の本体に98種分(ガス単体及び混合ガスデータ)内蔵しています。必要に応じて混合するガスの数と混合比率をユーザーで任意に設定して、仕様変更することが可能です。
混合比率と混合ガス数はある程度自由に設定が可能で、それを本体に20種分ユーザー仕様としてプリセットできるマルチガス機能は、研究用途では非常に好まれるのではないでしょうか?
*本記事作成に当たりAlicat社日本総代理店 日本スターテクノ(株)
さんにお世話になりました。ありがとうございます。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan