EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

流量

FLEXI-FLOW Compact “MASS FLOW CONTROL Redefined” 

ブロンコスト(Bronkhorst HIGH-TEC.B.V.  日本法人はブロンコスト・ジャパン(株))の発表した新製品 FLEXI-FLOW Compact に関する続報です。

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FLEXI-FLOW Compact 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

ブロンコストはこの新製品を “MASS FLOW CONTROL Redefined” と呼んでいます。
Redefined は日本語では”再定義”を意味します。
つまり「質量流量制御の再定義」を行う製品だという事でしょうか?
公開されている情報だけでも、以下の特長があります。

・流量センサー、上下流の圧力センサー、温度センサーを搭載し、マルチパラメーターを実現!

・ブロンコストのどの製品よりも高速応答、セトリングタイム150mSec.を達成!

・22種類のガスデーターがメモリーしており、単一もしくはそれらの混合ガスにガス種を切り替え可能なマルチガス対応!

・EL-FLOW Prestige FG-201CVP 並みの温度・圧力によるCF補正機能搭載!

・EL-FLOW Prestige並みの高精度 ±0.5% RD+ ±0.1% FSを実現!

・ファームウエアの切り替えでAPC(Automatic Pressure Controller)としての運用も可能!


FLEXI-FLOW Compactのグレード構成は大きく分けて3種です。

拡張版(Preconfigured Advanced:PA)
4つのレンジ(Full Scale:FS = 0.5/2/5/20 ln/min、窒素ベース)のMFC、ターンダウン1:500、流量+圧力+温度測定

・標準版(Preconfigured Standard:PS) 
4つのレンジ(Full Scale:FS = 0.5/2/5/20 ln/min、窒素ベース)のMFC、ターンダウン1:50、流量+温度測定

・受注生産版(Built-to-Order:BtO)
 MFCとMFM、最小0.5 ln/minから最大20 ln/min(窒素ベース)の間から任意にレンジを選択、ターンダウン1:1000;マルチチャネル版(最大8チャネル)

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マルチチャネル版 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

Decoのお気に入りは、FLEXI-FLOW Compactのカラーリングは鮮やかなオレンジな事です。
オレンジと言えばオランダを表す色ですね!
ここでオレンジという色を選択してきたブロンコストの本気ぶりにDecoのテンションも一気に上がっています。
詳細情報は入手次第、追加告知していきますね!お楽しみに!

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠


真・MFC千夜一夜物語 第360話 流量と圧力制御は同時にはできませんよ! その1

このブログの第132夜~133夜でMFCのライバルは?VS APCという解説をしました。
APCとはオートマチックプレッシャーコントローラー (Automatic Pressure Controller)という圧力センサーで測定した信号をベースに、流量制御バルブを可変させて、結果として圧力を制御する機器の事です。
MFC=マスフローコントローラ(Mass Flow Controller)が、流量センサーで測定した流量信号をベースに、流量制御バルブを可変させて、流量制御する機器であり、両者は似て非なるものという解説を行いました。

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しかしながら、その後、PI-MFCとか圧力式フローコントローラーといった製品が世の中に出回った為に、混乱しておられるユーザーさんが多いように見受けます。
 
先日もこのような質問を頂きました。
「1台で圧力と流量で同時に制御ができる製品を紹介して欲しい。」

確かに先日ご紹介したブロンコストの新製品“FLEXI-FLOW”はマルチセンサーを搭載しており、流量/圧力/温度を測定できます。
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他にもMKSさんのPI-MFCはファームウエアの切り替えでAPCにすることもできるようです。
 
でも、間違えてははいけないのは
「流量や圧力はセンサーを積めば測定して出力できますが、制御はどちらかでしかできません。」という事です。

流量制御と圧力制御を切り替える事はある条件内ならば可能です。
ここで言うある条件とは、MFCやAPCに搭載された流量制御バルブのKv値(Cv値)と分解能が許容する範囲内でという意味です。

なぜ同時にできないのか?
答は簡単です。
制御バルブは、流量?それとも圧力?一体どちらの指示を聞けばいいのか?わからなくなってしまうからなんですね。
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以前ご説明したこの図と同じことが、一台の機器の中で起きてしまうからなのです・・・

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

ブロンコストの新製品!FLEXI-FLOW Compact!

4月5日、ブロンコストから新製品の発表がありました!

マスフローコントローラー(MFC)の新製品 "FLEXI-FLOW Compact"です!
まずはこちらの動画をご覧ください。



従来のコンパクトMEMSセンサータイプMFC IQ+FLOW よりは大振りなイメージですが、その分
フルスケール20SLMまで流量レンジを拡張できているようです。(IQ+FLOWは5SLMまで)

従来のEL-FLOWとの比較では、こんなに小さいのです!
(EL-FLOWも巻線型サーマルMFCにしては薄型なので、驚かれていたのですが・・・)
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Compact Multifunctional Mass Flow Instrument for Gases とあるように、MEMSの気体用熱式流量センサーを搭載したMFCでありながら、圧力センサー温度センサーも内蔵しています。
EL-FLOW Prestigeで搭載されたガスの温度・圧力コンディションにより変化するコンバージョンファクター(CF)をOn-boardで搭載したデータベースに基づいて自動補正する機能に用いる事が出来ます。
もちろん圧力センサーと温度センサーの情報を読みだして使う事も可能です。
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通信機能はオプションを装着すればBluetoothにも対応するようです。
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製品型式、仕様は、ブロンコストさんのブログ記事も参照下さい!
久しぶりにワクワクしてきそうな新製品、ブロンコストの FLEXI-FLOW!
興味を持たれたら、EZ-Japan までお問い合わせくださいね!

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠


真・MFC千夜一夜物語 第292話 流量とは?流量計とは? その1


【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20198月号(7/25発売)は特集ページとのボリューム調整の関係で休載となっております。
連載第56回は9月号になりますので、お楽しみに!

 

さて、今回からマスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータ(MFM)の属する質量流量計の一つ熱式流量計以外の流量測定方式に関してお話をしましょう。
その前にまず大原則である「流量」というものに関するお話から始めます。

本来連載第1回でお話しすべきだったかもしれませんが、あまりお堅い話を最初から始めたくないという思いもあって、今頃になりました。

 

流量とは読んで字のごとく「流れの量」のことです。
気体・液体等の流体が単位時間当たりに、ある地点を通過する量のことになります。

流量の測定は、下図で示す通り 流路の(断面積)×(流体の流速) で求めることができます。

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一般的にこの流量とは体積流量の事を表しています。
単位時間当たりに、ある地点を通過する流体の量を“体積”で表したものが体積流量で、図中にあるように、体積流量Qv(m3/s
は、流体の断面積A(m2) に 流体の流速v(m/s)を掛け合わせることで求められます。
それに対して質量流量Qm(kg/s)は、流体が単位時間当たりに、ある地点を通過する流体の量を”質量”で表したものです。

体積流量Qvm3/s) に 流体の密度ρ(kg/m3) を掛け合わせることで求めることができます。
つまり流体の密度さえ明確ならば、体積流量から質量流量を求めることができますし、その逆も可能なのです。
体積流量計と質量流量計は、流量を体積と質量どちらの側面からとらえているか?の差であり、全く異質なものではありません。

JIS B 7556:2008 “気体用流量計の校正方法及び試験方法”にも「気体の体積は、同じ種類及び質量であっても、温度又は圧力が異なれば、そのときの気体の体積は異なる。したがって、気体の状態(温度、圧力)を明示して体積流量で値を示す場合があるが、このように状態を明示して示された体積流量は、質量流量と同義である。」と記載されている事からも明らかですね?

 

  

では、なぜ人間は流量を測るようになったのでしょう?

Decoの考えでは、その理由は2つあるかと思ってます。

 

① 使った流量に応じた料金を徴収するためです。

水道、ガス、石油類(ガソリン、灯油、重油等)・・・等、流量に応じて料金を算出するサービスがあります。
セルフガソリンスタンドで給油される方がほとんどになったかと思いますが、ガソリンが入った量で支払う金額が増えていくので、ガソリン代の高い時などは、回るメーターを見ながら財布の中身が気になるDecoです。

最近では、燃料電池車用の水素ステーションで高圧70MPaの水素を流量測定するのにコリオリ式流量計が使用されている話題をよく聞きませんか?


このような用途では、不公平があってはいけません。
同じ50L入れたはずが、Deco52Lで、貴方は45L、それが同じ料金では腹が立ちますよね?

ここで重視される要素:校正証明(国家基準とのトレーサビリティを証するもの)になります。

 

② 安定した歩留まりで生産するためです。

こちらは近年になって、生産装置のFA化が進んできたことから生み出された需要かと思います。
半導体製造装置、バーナーコントロール、薬液等充填・・・等、環境変化に影響されない=製造装置の再現性向上に役立てる為に、流量を正確に測ろうという動きが起き、多くの方式の流量計が求められましたが、中でも流量制御機能を付与したマスフローコントローラが好まれることになったのです。


EL-FLOW Prestige application

【生産設備に施工されているMFCの例 写真撮影の為、ケーブル類は配線されていません。 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

では、次回は流量計とは?をお話ししましょう。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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