EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

RS232

真・MFC千夜一夜物語 第319話 MFCに互換性はあるの?その5

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM)のメーカー間での互換性に関するお話です。

アナログ信号でやり取りをするマスフロー(MFCMFMの総称)の場合、そのコネクターやピンアサイン、あげくは勘合ネジ腫に至るまで問題になる箇所が多いというお話を前回はさせて頂きました。

 

では、デジタルはどうなのだというと・・・

これもフィールドバス仕様が出てくるまでは、群雄割拠状態でした。

RS232CRS485RS422もありましたね)といったシリアル通信が多かったデジタル黎明期は、接続コネクターも独立した丸型コネクターだったり、前回のブロンコストさんのようにアナログ通信用D-ub9ピンの内2本分をRS232に割り振ったりと各社様々な仕様なのです。

 

でも、それ以上に問題なのは、プロトコルなのです。

いわゆる通信コマンド体系が各社ごとに異なるのです。

人間で言えば、日本語とドイツ語で話しているくらいの差があるのです。(いや、それ以上かもしれません・・・)

これでは互換性なんかある訳がありませんね?

(なぜか異なる2社で同じプロトコルを使っていたりしましたが、それは大人の事情ですw)

 

これに一石を投じたのが、前述のフィールドバスへの対応です。

例えばDeviceNetの場合、通信ケーブルはM12 DeviceNet コネクタケーブルを使うことになっています。

当然、プロトコルも共通の通信仕様が用意されています。

これで上述の互換性の問題は解消されましたね!


200720_01

 

出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

 

ただ、互換性があるのは同じフィールドバスの中だけです。

DeviceNet と Profibus、そしてCC-Link の間には互換性は無いのです。

以前にも見てもらった統計を再度見てもらいましょう。

 

 200720_02

出典:産業用ネットワーク市場シェア動向 2019”” HMS 社統計)by Andrea Jacobson | 5 07, 2019

 

これだけの数のフィールドバスがあり、更に産業用イーサーネットが伸びてきているのです。

マスフローの本体性能には関係ないところなのですが、対応しないわけにもいかないですよね。

やはりマスフローの互換性を確保するのは、難しい事なのですね・・・

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第318話 MFCに互換性はあるの?その4

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM)のメーカー間での互換性に関するお話です。

前回は電気接続コネクターのカードエッジタイプに関して、ご説明しましたが、今回は今の世代のマスフロー(MFCとMFMの総称)のアナログ信号動作タイプで一番多く使われているであろうD-subコネクター(D-subminiatureが正式名称で、D-sub、ディサブは通称です)に関してお話ししましょう。


D-subコネクターはピンがアルファベットのDの字に似た形状の金属シールドに囲まれた形状をしているのが語源だそうです。
ピン数により、9ピン用のDE-9(RS232通信用)、15ピン用DA-15(2列配置)/DE-15(3列配置 VGA端子)、25ピン用DB-25等、色々な種類があります。


マスフローでよく使われるのは、国産ですと9ピンUSですと15ピンです。

EUのブロンコストは9ピンですね。(写真参照)

200713_01


元写真出典:ブロンコスト・ジャパン(株)、作図:EZ-Japan


 Decoのデビューしたマスフロー黎明期にはカードエッジ、丸型コネクター、D-subコネクターもピン数が色々あって、しかも各社間でピンアサイン(配線表)も統一されていなかった為、A社のMFCをB社に置き換えようとすると色々と大変でした。
置き換えキット=変換ケーブルなるものを各社が用意して。例えばカードエッジからD-subへと置換をする必要がある場合に、マスフローと装置側のケーブルコネクターとの間に挟んで、コネクター形状と配線を正常に接続できるようにしたのものです。
 


最近ではひとまず国内のマスフロー用D-Sub9のピンアサインは、SEMIで統一の動きもあったので、下記のようなスタイルに収斂されつつあります。


200713_02


 

⑥と⑧はMFCのみで使用し、MFMでは配線不要です。

また、赤字の部分は必ずしも全てのMFCメーカーで採用されているわけではありません。


これも電源仕様で24VDC単相仕様が主力になってきたり、RS232通信に2ピン割り振ったりすると変わってきます。

例えば同じD-sub9でも、デジタル通信対応のブロンコスト製品は以下のようなアサインになります。

200713_03


出典:ブロンコスト・ジャパン(株)


更に厄介なことがあって、それはD-subコネクター固定用の勘合ネジ規格です。

Decoが知っている限り、M3、M2.6、UNC#4-40 の3種類が存在しています。

UNC#4-40を採用しているのは海外メーカーで仕方ないのですが、M3とM2.6は・・・

D-subコネクターの勘合ネジ、勘合台の解説はエイム電子株式会社さんの記事を参照下さい。


このように配管パーツの一つであるマスフローですが、互換性を完全に確保するのは難しいものなのです・・・



【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

BRIGHTはいいですよ!

今回ご紹介するのは、ブロンコスト社(Bronkhorst High-Tech B.V.)のマスフロー(マスフローコントローラ&マスフローメータの総称)用表示設定モジュール”BRIGHT"シリーズです。

EL-FLOW Prestige にBRIGHTを装着した写真 ↓
bronkhorst9

<出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

「えー、これってマスフローに表示器が付いてるだけでは?」という第一声をよく聞くのですが、これが優れモノなのです。

BRIGHTは確かにマスフローの別付け流量表示&流量設定ユニットです。
ACアダプターに当たる”PiPS"とセット購入いただくことで、マスフローの瞬時/積算流量表示、瞬時/積算警報出力、流量設定(MFCのみ)が利用できるようになります。
つまり、マスフロー専用電源や表示器、設定器は不要になるのです。
マスフローという製品は、スタンドアロンで使えないイメージがあるのですが、このキットを使えば大丈夫です。

表示設定機能付きマスフローは他にもありますが、BRIGHTの優れたところはマスフローのボディと一体型ではないので、その分、大きくて美麗なTFT画面で視認性が非常に良い事、そして直観的な操作を可能にする、わかりやすいキー配置もよいところに挙げられます。

ブロンコストのマスフローほとんどに対応できることも大きなメリットです。
EL-FLOWシリーズのようなIP40対応、IN-FLOW,CORI-FLOWのようなIP65対応、それぞれに合わせたコネクター仕様が準備されています。
bronkhorst6
<出典:ブロンコスト・ジャパン(株) 図作成:EZ-Japan>

そして何より大きな利点でありながら、お客様に認知されにくいBRIGHTの利点は、本体のマスフローとRS232通信で表示、操作の信号のやり取りをしている事です。
この事の恩恵は色々あります。
例えばアナログの表示器では面倒であったスケーリング変更作業です。
5000SCCM から 20.0SLMへのスケーリング変更は、表示器のフルスケール値や小数点位置を変える作業が必要でしたが、BRIGHTでは必要ありません。
マスフロー(もちろんブロンコスト製品に限ります)+BRIGHT+PiPS を接続して、100VACから給電すれば、通信が確保され立ち上がった時点で接続したマスフローの仕様を読み込んでBRIGHTは表示スケーリング作業をオートでやってくれるのです。

この説明をある先生の研究室でしたところ、「Decoさん!これは便利だね!!」と先生はすぐBRIGHTの利点に気が付かれました。
研究用途でマスフロをお使いの場合、研究室のすべてのマスフローが常時設置されて稼働している事は少なく、実験で必要な仕様(ガス、流量、圧力)に応じてマスフローを保管庫から出してこられて、それを表示器、設定器等のアクセサリーを接続されて使用されます。
そのマスフローの仕様に合った電源、流量表示器、設定器、ケーブルを用意しなくてはならず、もし何らかの理由で表示器が欠品していた場合は、基準電圧信号、例えば5VDCを入力してスケーリングをマスフローが30SLMならば、30.0という風に合わせこまなくていけませんでした。
こういった複数のアクセサリーの管理は煩雑になりがちです。

でも、BRIGHTは、IP40/IP65仕様でのコネクターの差こそありますが、そこさえ合っていれば極論すれば1台のBRIGHTを複数の違った仕様のマスフローに接続して、すぐ使い始めることができるのです!
これは定置型でないマスフローの使い方が多い研究室などや、工場でもラインに設置されたマスフローの点検校正に基準マスフローをお使いになるような用途では本当に便利な機能と言えます。
しかも、ブロンコストのマスフローをデジタル通信でPCと接続してできる機能のほとんどをBRIGHTで代行することができるのです。

BRIGHTシリーズの中でもB2とB4はオプション取付キットが充実しているので、下図のようにマスフローから離して配管に取り付けることも可能です。
181108_02
<出典:ブロンコスト・ジャパン(株) 図作成:EZ-Japan>

マスフロー自体が視認できない設置場所の場合に有効ですね。(延長ケーブルはRS232通信の関係で1m程ですが。)

マスフローの制御はPLC等で遠隔で行うのだが、現場で流量や警報の確認をしたいという用途でもお役に立ちます。
特にIP65対応のマスフロー(IN-FLOWやmini CORI-FLOW)とBRIGHT B3&B4の組み合わせなら、ある程度の粉塵防水性能を必要とされる現場でも使用可能です。

どうですか?
なかなかの優れもののBRIGHTシリーズ、お問い合わせはEZ-Japanまで!

EZ-Japan ここでもうひと押し by Deco

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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